2017年05月10日
メロスは王と対立する 国文学概論
国文学概論では、
太宰治「走れメロス」を、
作業しながら読解していると、
紹介しました。

小説を読解する際には、
形でとらえる必要があります。
(「構造」ということも、あります。)
例えば、「走れメロス」の始まりは、
メロスと王の、
はっきりとした対立の形になっています。
メロスは、邪悪に敏感な男、
王は、邪智暴虐、ということになっています。
また、メロスは政治がわからない牧人、
王は、支配者です。
さらに、メロスは、妹の結婚式のために、
買い物に出かける男ですが、
王は、人を信じられないがゆえに、
妹をも殺しています。
「走れメロス」は、伝説を基にして、
あえて、単純な対立の構造にしているのでしょう。

読解は、さらに先に進みます。
小説の文章をよく読んでみますと、
そういう単純な対立構造から、
はずれた表現が見つかります。
邪悪なはずの王の顔が、
蒼白で、眉間に皺が刻まれています。
悩みがあるらしく、
王は、孤独だと主張します。
こういう単純な構造に当てはまらない部分を、
読み取ることで、読解は深まります。
形にはまらない表情や発言は、
登場人物の性格に、
奥行きを与えます。
いずれにせよ、
まずは、形を捉えないと、
意外な部分にも、
気づかないことになります。
形と意外な部分と、
両方読み取ることで、
発見があります。
報告:長沼光彦