2020年03月31日

国際図書館連盟における活動

 図書館といえば、どんなイメージをお持ちでしょうか? 本を借りるところ? 調べ物をするところ? もちろんそのための場所でもありますが、それも含めて、図書館は人類の知的遺産の多くを収集し、使いやすくコレクションとして構築し、人々に提供する機関です。そのために、理念から技術に至るまでさまざまな工夫と発展が欠かせません。国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions:IFLA)は、そのための国際的な機関で、毎年8月に開催される年次大会では、国立図書館長会議も開催されます。年次大会では、いくつもの委員会や部会に分かれて、文化遺産の保存・継承から最新情報技術の図書館サービスにおける活用までさまざまなテーマが議論されています。

 日本からは16人の代表委員を出しており、私は現在その中で学校図書館部会の常任委員をしています。学校図書館のサービスは、学校教育と密接に関係しており、国や地域によって学校制度が多様である現状の中で、学校図書館はどのようにこどもたちの読書や学習の支援をしていけばよいのか、ということについて、議論をしたり、ガイドラインを作ったり、具体的な方法を提示したりしています。




学校図書館部会のメンバー 2017年に開催されたブロツワフ(ポーランド)の会議で


 日本の学校図書館は、学校図書館法という法律のもとで、すべての小中高等学校に設置することが義務付けられており、また、児童書が豊富に出版されていること、学校教育が一定以上の水準に保たれていることなどから、比較的恵まれた環境にあるといえます。しかし、実際には課題も多く、他の国や地域の図書館を見学して参考にすることもよくあります。



Athens College(幼稚園から高等学校まである私立学校) 2019年のアテネ(ギリシャ)


 2019年に訪れたこの私立学校の図書館では、学校のカリキュラムと密接した図書館利用が特徴的でした。幼稚園でも、子どもの読書習慣を育成するための工夫が行われており、学年が上がるにしたがって、図書館の活用方法も変わります。国や地域によって、学校図書館の活用において何を重視するかは違います。日本では、長い間読書がそのサービスの中心でしたが、近年、学習における活用の重要性もかなり注目されるようになりました。リテラシー、すなわち読み書きする力の育成を重視する国もあります。また、学校図書館に限らず、図書館は、貧困と非識字の連鎖を断ち切るためのプログラムにも力を入れています。前アメリカ合衆国大統領のオバマ氏は、図書館は子どもにとって魔法の入り口であると言っています。図書館利用によってリテラシーが身につき、それが子どもたちの将来の選択肢を広げることになるから、と。



2017年開館のギリシャの国立図書館 イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏の設計


 古代から人類の文化活動を支えてきた図書館が、未来においてどのように変貌していくのか、図書館情報学に関わる研究活動は常に現場と深く結びつきながら行われます。ハドリアヌスの時代から図書館のあったアテネに、このようにな現代的な国立図書館が建てられたことは、その未来を象徴しているかのようです。
                                     (国際日本文化学科 教員 岩崎れい)




  

Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 23:57Comments(0)教員の研究活動図書館司書資格国際交流

2019年03月22日

日本語教育実習Ⅲ(香港実習) レポート 〈続〉  越智瀬莉香 


 3つ目の目的は、工繊大の実習でわかった課題の克服である。工繊大実習では、授業が始まると緊張したり、授業を計画通り進めることに一生懸命になりすぎてしまったりで、学生とコミュニケーションをとるのを疎かにしてしまった。

               (香港天水圍にある順德聯誼總會翁祐中学の高校生たちと交流)


 そこで、今回の授業では、教師と学生の間に壁を作らないようにしようと授業に臨んだ。しかし、1度目の初級1の授業は失敗に終わったと思う。




 2度目の初中級3のクラスでそれを改善するために、ホテルで何度も練習し、パワーポイントの操作は他の学生に任せるなど工夫した。その結果、前回よりも圧倒的に学生との会話の時間が増え、応用練習での作文の時間には、全員にフィードバックができたのも良かったと思う。作文の時間に学生に質問をしたら、質問の答え以上のことを学生が話してくれたり、学生から話しかけてくれたりと、コミュニケーションがとれた授業になった。

                       (CUSCS周先生の授業でディクテーション模範朗読のお手伝い)



 この12日間は、多くのことを学び充実した実習となった。ただ、今年の後期に京都工芸繊維大学で行われる実習に向けて、新たな課題も見つかった。まず、今回の実習では、自分の日本語の知識の少なさを痛感した。無意識に使っている言葉の意味や使い分け、それをどう日本語学習者に説明するかなど、日本語の研究が必要だと感じた。




                      (マカオ旅游学院の学生たちと交流)


 次に、既習項目が特に少ない初級の学習者とのコミュニケーションの難しさも感じた。媒介語を使わなければならない場面もあるが、既習の文型や単語を使い、学習者が日本語に触れる機会ができるだけ多い授業にする工夫が必要である。これらのことを踏まえて秋の工繊大の実習に臨みたい。   ≪了≫


(報告者:国際言語文化学部英語英文学科4年次生 越智瀬莉香)


  


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2019年03月21日

日本語教育実習Ⅲ(香港実習) レポート  越智瀬莉香 


 3年生の前期に京都工芸繊維大学で日本語を教える実習を体験したが、その時いろいろ反省点や課題があったので、今回の香港とマカオでの実習も始まるまで不安でいっぱいだった。でも、終わってみると、本当に充実した12日間にすることができたと思う。




 今回の実習は、私にとって、3つの目的があった。まず1つ目は、海外で日本語を学習している学生がどのような環境で勉強しているかを知ることである。

 全体的な印象としては、1クラスに対しての学生数が多いと感じた。香港日本文化協会日本語学校では、学生が3人や10人のクラスも確かにあったが、20人以上いるクラスもあった。香港中文大学専業進修学院(CUSCS)では、1年生は1クラス40人、2年生は1クラス25人だそうだ。この人数では、教師が学生1人1人を見るのはなかなか難しいのではないかと思った。

                     (マカオにある旅游学院にて)


 また、CUSCSの1年生やマカオ旅游学院の学生は先生以外の日本人と話すのは初めてだと言っていた。やはり日本以外の国で、日本語を勉強していると日本語母語話者と話す機会がかなり少ないという課題があるようだった。

 一方で、なぜ日本語を勉強しているのかをどの学生に尋ねても、それぞれの理由や目的が明確だったり、積極的に日本人実習生とコミュニケーションをとろうとする姿勢や学習意欲の高さに感心した。

                       (文化紹介の授業で書道の実技指導)


 次に、2つ目の目的はプロの先生がどのような授業をしているかを知ることである。複数の先生方の授業を見学させていただいたが、それぞれの先生方に独自の教え方があった。私たちがノートルダムの授業(日本語教授法など)で習った教え方をしている先生はいなかったように思う。




 授業見学で特に気になっていたのは、学生の間違いをどう正すのかである。学生の日本語習得のためには、もちろん間違いを正さないといけないが、学生のモチベーションを下げてしまうのではないかという不安があり、できれば間違いを正したくないと思っていた。

                 (デザートの定番、枸杞の実入り桂花茶〈キンモクセイ茶〉ゼリー)


 CUSCSの飯田先生の授業を見学させていただいた時に、学生が間違った日本語を言っても1度も「違います」とはおっしゃらなかったのが印象的だった。「『こっちの方が自然だから。』とか『なんとなく。』でもいいから。」と、学生になぜそう思ったのかを聞いていらっしゃったのも新鮮だった。   ≪続≫


(報告者:国際言語文化学部英語英文学科4年次生 越智瀬莉香)





  


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2019年03月21日

日本語教育実習Ⅲ(香港実習) レポート  福島明星(ふくしま あかり)


日本語教育実習Ⅰで外国人学習者に対して授業をしたことはあるものの、振り返ってみても生徒に理解をしてもらえた、楽しんでもらえたと胸を張って言える結果ではなかったので、今回の実習に際しても、準備をしたことがちゃんと伝わるか、まとまりのよい授業を時間通りすることができるかなど不安でいっぱいでした。





香港に渡ってから、初回の授業を行うまでに実際に日本語学校に行っていくつか授業を見学したり、時にはミニ講義を体験させていただいたりして、生徒が楽しそうな雰囲気を保ちながらも間違いを修正したり、文法を教えたりなどしていました。授業とは、静かな雰囲気で教師が一人しゃべっているものではないということに改めて気づかされました。





それらの授業見学をすることで、自分がどういう授業をしたいかを改めて考えなおし、生徒が自ら発信する機会が多いこと、楽しんで学習してもらえること、生徒の理解レベルを確認しながら進めること、この三点を目標に授業に臨みました。





初回の中級授業では生徒が前に出る機会を多く作り、楽しい雰囲気で進めることが出来たと思います。

一方中級クラスでは、生徒間のレベル差に対応した応用問題やワークに出来たらもっと良かったと反省しました。初級授業ではより丁寧に出来たと感じましたが、中級のワークは単調になっていた気がします。


このように、授業を実施してみて、ダメだったところだけでなく、うまくいった点についても客観的に自己評価できるようになったことで、自信に繋がったと思います。

また実習以外にも、文化交流も楽しく、日本について知識をより深めてもらえたのではないかと感じています。





今回の実習での活動全体を通して、相手に楽しんでもらうことを重視しつつ自分も楽しんで授業や活動が出来たことはとても大きな収穫でした。授業の間は我を忘れていたのに、写真を見ると自然と笑顔が出ていましたし、何より授業が終わった後反省点もありましたが、まず楽しかった印象が強いです。





また日本語を教える機会を得たいと思える、前向きな気持ちになれた実習でした。今回の経験や思い出は、今後の人生の貴重な糧となったと思います。



(国際言語文化学部英語英文学科4年次生 福島明星)




  

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2019年03月19日

日本語教育実習Ⅲ(香港実習) レポート  松本若菜


 私は海外に行くことも、他人と二週間近くも共同生活することも(そもそもそんなに長期間実家を離れることも)、まったく初めての経験だったので、この実習に参加してだいじょうぶだろうかという不安があった。一緒に行くのが日本語教育の授業以外でそれほど交流のある人たちでもなかったということもあった。




 日本語教育実習Ⅰでは、京都工芸繊維大学の留学生を相手に授業をしたが、それ以来の日本語の授業だったので、指導案もうまく作成できるだろうかという思いもあった。






 しかし、今帰国して思うことは、この実習に参加してよかったということだ。

 実際に本物の日本語教員の授業を見たことがなかったので、たくさんの先生方の授業を見ることが出来たのは大きな財産になったと思う。いろんなパターンの授業方法があって、どれも勉強になった。また、実際に海外で日本語を勉強している学生と直接交流できる機会はめったにないことなので、とても良い経験になった。






 自分が実際に行った授業の反省点は、ゼロ初級レベルの人だけが相手だったら成立していないような授業をしてしまったというのが大きい。今回の学生はレベルが高い人ばかりだったから何とか最後まで授業ができたが、まったくの初級レベルの人には難しすぎる言葉を使って授業を推し進めてしまった。





 授業時間が余った時のために用意していた追加学習で何とか時間を引っぱって、授業をしたが、これを使わなくても済むくらい授業内容を充実させたり、追加授業に関しても、日本でもっと準備しておけばよかったと反省している。



 〈九龍から香港島に渡る船上から香港の夜景を見る〉

 
 いろいろ反省点は尽きないが、とても有意義な初海外となった。

(報告者:国際言語文化学部国際日本文化学科4年次生 松本若菜)



  


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2018年10月05日

ブラジルから ―海外ボランティア日本語教師・近藤ゆみさん


この7月にブラジルに渡り、サンパウロ州ピンダモニャンガバという町で日本語教師をしている卒業生の近藤ゆみさんから、写真付きのメールが届きましたので、ご紹介します。



近藤さんは、本学英語英文学科を5年前に卒業し、民間企業に就職したのですが、日本語教員への夢を捨てきれず、企業を休職してこの夏から2年間、JICAの日系社会青年ボランティアの日本語教師として勤めています。



先日、日本文化のクラスを担当したとのことで、その時の画像が以下の写真です。






青少年(中学生〜大人)と小学生の2つのクラスに分けて指導計画を立て、青少年クラスでは、「ご当地マンホール」、小学生クラスは福笑いの紹介を行いました。




「ご当地マンホール」の授業は、日本にいる時からアイデアの一つとして考えていたそうで、「ご当地グルメ」「ご当地キャラクター」「ご当地スタンプ」などとともに、日本の地域活性化のアイデアとして素晴らしいものだと思い、クラスで紹介することにしたそうです。



「ただ単に面白いでしょ?っていうだけでなく、日本にはこんなアイデアがあるんだよ、という紹介もしたかったんです。生徒たちも興味津々に聞いて見てくれて、どこまで伝わったかはわかりませんが、想像していたよりも大変好評で、現地の先生にもとても喜んでいただきました。もちろんたくさんの反省点がありますが、まずはよかったです」とは、近藤さんの言葉。



小学生クラスの福笑いも好評で、ポケモン福笑いを見せたら、ピカチューを見ただけでモチベーションが急上昇、作戦成功だったとのこと。






やはり、学習は動機付けが大事ですね。


まだまだブラジルでの生活は始まったばかりですが、2年間の体験が彼女を日本語教師として大きく成長させてくれることを願っています。


ちなみに、近藤さんの日本語教師を志すきっかけとなった原点は、5年前に行った香港での日本語教育実習だったそうです。


香港実習のことは、このブログ内に過去の記事がたくさんありますので、「香港」のタグで他の記事も御覧ください。



(日本語教員養成課程担当:堀勝博)



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00Comments(0)日本語教育卒業生国際交流

2018年09月21日

前期授業から ―京都工芸繊維大学での日本語教育実習

 
 京都ノートルダム女子大学では、外国人に日本語を教える資格「日本語教員資格」を取得することができます。

 全学の学生が取得可能ですが、実際に資格課程を履修しているのは、英語英文学科と人間文化学科の学生がほとんどです。

 2年次生から本格的に課程科目を履修し始めますが、3年次または4年次の前期に履修するのが、「日本語教育実習Ⅰ」という科目です。

 日本語を外国人にどう学習させるか、ティーチングプランを作成し、それにもとづいて実際に教壇に立って教えます。

 他大学では、通常、同じ授業を受けているクラスメイトを相手に教え合うのですが、本学では、すべての実習科目で、実際に外国人学習者を相手に教えることにしており、「教育実習Ⅰ」でも、最後の3回(7月の第1~3週)、京都工芸繊維大学の外国人留学生を集めた特別教室で、模擬授業の体験をします。


   英語英文学科3年次生 越智瀬莉香さん



 課程履修生は、生まれて初めて担当する日本語教室、生まれて初めて立つ教壇ということもあって、みな緊張していましたが、徐々に日本語を教える楽しさに気づき始めたようでした。

 後期には、すべての授業を京都工芸繊維大学で行う「日本語教育実習Ⅱ」がありますが、今回出席してくれた留学生が「とてもよかった。後期もあなたたちの教室に来るからね」とうれしい約束をしてくれたそうです。



   英語英文学科4年次生 間宮愛さん(三重県立上野高校出身)
   人間文化学科3年次生 山本友美さん(鳥取県立倉吉北高校出身) 


 ちなみに、本学の学生が京都工芸繊維大学の留学生を教えることになったのは、2009年に本学と京都工芸繊維大学とが包括協定を締結した際、学生の相互交流の一環で、同大学国際課のご協力を得て始まったもので、今年で10年を迎えました。

 国立大学と私立大学が日本語教育で直接交流する、全国的にもめずらしい取り組みですので、今後とも発展・継続していけるよう、学生諸君にはがんばってほしいと思います。


(日本語教員養成課程担当:堀勝博)



    


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2018年09月14日

前期授業から ―祇園祭に行ってきました 2


  夏休みも終わりに近づき、季節外れになってしまいましたが、前期の授業内容からご紹介します。


  人間文化学科3年次生必修科目「専門演習Ⅰ」(古典・日本文化ゼミ)のクラスで、祇園祭に出かけました。わがゼミの恒例行事です。





  祇園祭は、2014年より古式にならい、前祭と後祭に分かれて山鉾行事が行われるようになりましたが、私たちが出かけたのは前祭のほうで、巡行前日の夜、いわゆる宵山でした。


  前祭には23基の山鉾が登場しますが、一晩ではとうていすべてを見ることはできません。人気の月鉾などは、すでに見学券がなくなっており、通過するだけになりました。





  今回は、ゼミ生に加えて、香港中文大学専業進修学院交換留学生トレーシーさん、ドイツ・ルフトハンザ航空ダニエル・ブラウンさんも特別ゲストで参加しました。


  縁結びの御利益がある保昌山から見学を始め、白楽天山、伯牙山、木賊山などを見た後、からくり仕掛けで人気のある蟷螂山を見に行きました。





  懸装品は、友禅染作家、羽田登喜男氏の作品で、見事なものですね。見に来ればいいのに、カマキリが苦手だと言って、会所の中に入ろうとしなかった人がいたのも一興でした。


  最後は、放下鉾に行きました。こちらは無料で鉾に上がらせていただけるとのことでしたが、女人禁制ということで、私とダニエルさんが代表で鉾を見学してきました。楽器なども触らせていただき(鳴らすのはNGですが)、いろいろお話をうかがいました。この狭い鉾の上に、40名近くが乗車し、交替でお囃子を担当すると聞いて、ダニエルさんも驚いていました。 




  学生たちは、寮の門限もあるので、9時過ぎに解散、ダニエルさんは祇園のホテルに宿泊しているとのことで、当日は深夜まで祭を堪能したそうです。学生たちにも、宵山の夜おそくから行われる日和神楽を見せたかったですね。



(ゼミ担当:堀勝博)




  


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2018年08月15日

今年も香港理工大學附属香港專上學院の学生さんたちと交流しました

前期6月のことでしたが、昨年度に続き、今年も香港專上學院の学生さんたち16名が、本学を訪問しました。




同學院は、香港の公立大学の一つ香港理工大学に附属する2年制学校(副学位課程)で、引率されたのは同學院の英語教授Ada Young先生でした。

香港では、近年、異文化・他国文化理解教育が推進されており、その一環として同學院が企画された日本訪問プログラムの日程に、本学訪問・交流が設定されたのです。




今年も、英語英文学科グローバルコースの学生(1・2年次生)、人間文化学科日本語教員養成課程を履修する学生、茶道部の学生が中心になって、おもてなしを担当し、交流を深めました。

プログラムは、キャンパスツアー、茶話会、クイズ大会、茶道体験の順に進みました。

キャンパスツアーでは、アポなしでしたが、行きがかりで学長室にもお邪魔し、記念写真を撮影しました。




交流セッションでは、まず最初に、本学人間文化学部長、鷲見朗子教授による歓迎スピーチが英語で行われました。Ada教授からもスピーチがあり、訪問を記念するペナントなどが贈呈されました。




続いて、英語英文学科グローバルコースの学生が中心になって、交流会を行いました。司会進行は、英語英文学科2年次生、山本みゆさんです。




A~Dの4択クイズで、優勝班には賞品が授与され、大いに盛り上がりました。




プログラムの最後は、お楽しみの茶道体験です。今年は2班に分かれ、8名単位で、本学の茶室「神徳菴」(裏千家の命名による)に入り、お点前を体験しました。茶道部の協力により、英語解説付きでお点前の説明と喫茶体験を行いました。




待機組8名には、茶道の歴史とお点前の概要を、クイズを交えながらパワーポイントで解説しました。担当したのは、茶道部員でもある英語英文学科グローバルコース2年次生、伊藤泰代さんでした。




3時間ほどの交流でしたが、、楽しく有意義な一時をともにし、最後の記念撮影をする頃には若者どうし、すっかり意気投合していました。




あれから2ヶ月経過していますが、今もSNSによる交流が続いていると聞いています。

(報告者:人間文化学科教員 堀勝博)





  


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2018年04月22日

「日本語教育実習Ⅲ」成果報告会を実施しました3



「日本語教育実習Ⅲ」成果報告 人間文化学科4年次生 小林愛美さん


(前号からの続き)

 最終日である上級2の模擬授業には、前回の失敗に習い多くの予備活動を用意して臨みました。しかし、この時は前回とは別の問題が発生しました。上級2の対象者に相当する学習レベルの生徒が、他の授業日程と重なっていて本時の模擬授業に参加ができなかったのです。よって、私が想定していた学習レベルに達する学習者がほとんど居ない、そもそもオノマトペを学ぶこと自体が初めてとなる生徒が大半を占める状況での授業となりました。また、学校の実施する通常授業の体制として、オノマトペのみに特化した授業がこれまで実施されていなかった事も今回の結果を生んだ要因の一つと考えられます。






 授業は体の不調を表すオノマトペに焦点を当て、“具合の悪さ”を表現する6語と“痛み”を表現する5語を扱いました。プリントを用いた演習問題に取り組んだり、授業の最後に行う応用練習には、実際に病院で医師に病状を説明する場面を想定した模擬演習を用意するなど、授業の盛り上がりと実用性の双方を意識しました。

 結果として、生徒全体の理解度が想定を下回っていたこともあり、前半の“具合の悪さ”を表現するオノマトペの説明に大量の時間を割く事になりました。全体の理解度に合わせ、用意していた解説から言葉を変えながら、臨機応変に噛み砕いて説明する必要がありました。丁寧な説明を意識するあまり、必要以上の解説をしてしまい、生徒の演習というより、教師の演説が活動の中心にある授業展開となってしまいました。授業を見てくださった先生方からも、これらは多くご指摘を受けました。自分自身、授業の展開や生徒の反応に慎重になり過ぎていたことを自覚し、深く反省しました。





 このようにして、私が掲げた目的⑴⑵は、多くの尊い失敗を経験することで達成されました。目的⑵については、模擬授業だけでなく、先生方の授業を見学させて頂いた中で数多の発見を得る事ができましたが、今回は中でも特に印象深く実感した事柄について、後輩の皆さんに共有しました。

 上記のとおり、上級2の模擬授業に参加した生徒のほとんどが、今回扱った語彙の意味を一つも知らない状況からのスタートでした。授業終わりは、自身としても不甲斐ない結果となってしまったことを反省し、先生方からも励ましの激励を頂いていましたが、生徒からの反応には思いもよらないものが多くありました。 




「わかりやすい」「ヒントが多くて理解できた」「わかるまで説明があってよかった」

生徒の口から出る感想は、自己評価にも先生方からの評価にも見る事のない、絶賛するものばかりでした。最初は励ましの言葉をくれているのだと思い素直に感謝していたのですが、実際にその後生徒同士の会話に本時に扱ったオノマトペが用いられている場面を何度も目にし、驚きました。

 私の説明で初見の語彙を理解し、用法も正しく日常会話に用いている……その事実に驚き、そして達成感を味わいました。もちろん、私の今回の授業で全ての生徒が理解に及んでいたとは言えません。中にはこれらの生徒とは違う感想を抱いた人も居たはずです。それでも、学習者の学習活動に私の指導が活きたこと、そして私の目指していた「実用的な語彙学習」が達成されていることが、何よりも嬉しい成果でした。

このエピソードと一緒にぜひ思い出したい出来事が、生徒による現役教員の評価についてです。生徒と交流を深める中で、生徒が普段の授業の感想を話してくれたことがありました。「あの先生の授業は楽しい」「あの先生の授業は分かりにくい」など、実習生という立場だからこそフランクに話してくれる内容でもあり、貴重な意見を知れた良い機会となりました。
その後、ある生徒から分かりにくいと評されていた先生の授業を見学させて頂いたのですが、授業の内容や活動としては、私自身特筆すべき改善点や分かりにくさを抱く事ができませんでした。これまで教授法や実習指導で“模範的な指導法”として習ってきた、オーソドックスな授業のように思えました。


 (香港MTR 美孚駅構内にあるキャラクターショップにて)


 ひとつ、他の授業との相違点を指摘するとすれば、“授業内で出た疑問、課題に即座に回答していない”という点でした。多くの生徒から分かりやすいと評される某先生の授業は、授業中に出た質問や生徒の回答に見えた誤用には、授業の進行を中断してでもその場で答えを出す、という方法をとっていました。私の上級2の模擬授業も、理解に及んでいない生徒が少しでも居るように見えた際には、何度も表現を改めて言い直すように心掛けました。これらは、「生徒から出た疑問には、どんな形であれ一先ず時間内に答えを出す」という、言わば瞬発性、即時性を重要視した指導法だと感じます。対し上に挙げた先生の例は、時間を有したとしても回答の正確性を優先する、“正しい知識の定着”を目指した指導法だと私は解釈しました。どちらの方法にも利点があり、生徒の需要によって評価が分かれる部分だと思います。

 今回私の模擬授業を高く評価してくれた生徒は、授業に即時性を求めていたのだと考察できます。言語活動が成功するにあたって、「わかる」「できる」「使える」という感覚はとても重要です。だからこそ、言語を学ぶ授業ではこれらの感覚を多く実感することで、自ずと満足度も高まるのでしょう。この場合、私が行った上級2の模擬授業は、この「わかる」という感覚に強くアプローチした授業だったと言えます。そういう意味で、終わりに疑問を残さない授業ほど達成感や満足感があり、評価が高まる、という現象が起こっていると考えられます。教師が設ける教育の目標と生徒が抱く学習の需要、双方とうまく折り合いをつけながら、状況に合わせ指導法を工夫していけるよう、事前の準備が重要だと分かりました。何が起こるかわからないという、ある種の「危機管理」とも言える能力が、教員に求められていると感じました。私自身、その力にはまだまだ至らなさを感じます。今後経験を積む中でさらに吸収していかなければと、背筋を伸ばされる思いでした。今後の参考として、興味深い体験となりました。

 今後は、自身の指導能力や知識量の向上を目指しながら、より良い指導法の開発に努めていきたいと思います。今回報告会に参加してくれた後輩の皆さんが、これまで以上に日本語教育に対し熱意をもって、私たちのように充実した実習を体験されることを願っています。
                                                           〈終わり〉





  


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2018年04月21日

「日本語教育実習Ⅲ」成果報告会を実施しました2



「日本語教育実習Ⅲ」成果報告  人間文化学科4年次生 小林愛美さん



私はこの度の実習について、おおよそ以下のような目的を見出し、成果を出せるよう尽力しました。





⑴自身の教員能力、日本語教育スキルを確かめる。
・これまで培ってきた指導技術、知識を実際の教育現場で活用できるか
・教育者として社会に立つスキル、適性が自身にあるか
・日本語学習者に対し、教育者という立場から正しくアプローチできるか
・日本語の誤用や表現のミスに対して機敏に反応し、疑問を持つことができるか

⑵香港における日本語教育の実態と学習者の需要を把握し、体験する。
・学習がどのような環境で、どのように行われているのか
・どのような人に必要とされ、どのような理由で学ばれているのか
・非母語話者が感じる日本語の難易点、疑問を理解し、寄り添うことができるか
・現在実施されている教育に優れた点が見られるか、そして不十分な要素があるか→改善できるか

⑶日本語学習者、実習関係者との交流を通じて異文化・特色を理解する。
・学習者との積極的な交流に臨めるか
・異国の地において日常生活、コミュニケーションを円滑に行うことができるか
(・非母語話者にとって、オノマトペ語彙を感覚的に理解することは難しいのか)
(・語彙理解にコミュニティ固有の共通認識(日本独特の価値観)が必要な時、どう教育すべきか)

⑶については、香港で関わってくださった全ての皆さんのお心遣いとご協力によって、満足した体験が得られました。生徒の皆さんはもちろん、教職員をはじめ地域の皆さんも、私たちを心から歓迎してくださいました。私自身海外での生活は初めての試みで、多くの不安を抱きながらの渡航となりましたが、それらが杞憂であったことはすぐに実感できました。かけがえのない出会いを得た日々となりました。
また、(  )で囲んだ下2項目は、自分自身の卒業研究の参考のためにぜひ話を伺えればと思い設定しました。非母語話者である日本語学習者が、日本語に対しどのような印象をもって、理解しているのか。日本語教員の実習生という立場から、そして日本語研究を専攻とする学生という立場から、学習者にアプローチすることを目指しました。





私が今回実施した単元は、初級1(日本語初心者向け)「あいさつ、自己紹介」と上級2(日本語上級者向け)「痛覚のオノマトペ」の2コマです。全8コマの模擬授業のうち、一番最初と一番最後のコマを担当する形となりました。そのため想定すべき学習者のレベルも授業によって大幅に違い、それぞれに必要となる対応も異なることが予想されました。
日本を発つ前に全ての授業計画を完成させることを前提に準備を進めていたこともあり、事前準備は順調に事が運びました。初級1と上級2、それぞれ以下のような項目に注意するよう意識しました。

初級1
・イラストやジェスチャーなど、視覚情報を多く提供すること
・説明的なコメント、指導にならないように、簡単な辞書形動詞を用いること
・学習者との交流に活動の中心があるように、会話練習や発問を多く取り入れること
・ネームプレートの作成やお菓子のプレゼントなど、レクリエーションのような楽しさを取り入れ、授業の盛り上がりを意識すること
・学習者の名前をなるべく把握し、発問の際には名指しで指名すること

上級2
・アニメーション、小道具などを効果的に用いて学習者が集中を持続できるようにすること
・用法と用例を多く用いながら、類似する語彙との相違を説明すること
・用いられる文がごく自然であり、日本語母語話者が日常生活で頻繁に使用する表現であること
・痛覚などの説明には実体験のエピソードを用いて具体性を出すこと
・学習者の名前と習得レベルをなるべく把握し、発問の際には名指しで指名すること


初級1の模擬授業は、英語やイラストも使いながら、何度も反復練習を行いました。





実際に当日参加してくれた生徒の日本語レベルは全員中級以上に達しており、本授業の内容は全員が容易に理解できる状況でした。授業態度も積極的で、教員からの発問のレスポンスもスムーズに行われました。そのため、私が想定していた時間配分より遥かに早いスピードで、準備していた課程が終了してしまいました。時間が余るという事態を想定して、応用練習を複数種類用意しておくべきでした。また、日本での事前準備で念入りに時間配分を確認していなかった事も大きなミスだと言えます。多くの反省と課題点を残し、1回目の模擬授業は終わりました。   
                                            〈次号に続く〉



  


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2018年04月20日

「日本語教員実習Ⅲ」成果報告会を実施しました


人間文化学科4年次生 小林愛美です。

3月16日(月)、日本語教員養成課程の最終科目「日本語教育実習Ⅲ」の成果報告会を本学ユージニア館にて行いました。




後輩たち(来年春、香港に行く学生たちを含む)が十数名が聞きに来てくれました。

数回に渡って本ブログでも実習報告を掲載させて頂きましたが、今回は今後実習を経験する後輩の皆さんにむけて、履修した4名から、模擬授業の様子や現地の生活、そしてそれらの体験から何を得たのかについて、各々20分程のプレゼンを行いました。




自身が実施した模擬授業の様子や反省について、実際に使用したPPTなどを見せながら説明した他、印象に残った出来事、楽しかったこと、今後に向けてのアドバイスなどについてもそれぞれからお話ししました。実習中に撮影した街や食事、交流の様子を写真で見せると、後輩の皆さんも興味深そうに聞いてくれていました。




今回は代表して私が、実際に報告会でお話しした内容をこのブログで綴りたいと思います。

実習中の生活、生徒との交流については他のメンバーが詳しく説明をしてくれたので、私からは特に、模擬授業を実施したことで得た実感と疑問、見えてきた今後の課題についてを簡単にご報告します。




次回もご覧ください。


  


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2018年04月15日

香港中文大学の学生さんから日本語教育実習の感想が届きました

  2月末に香港で日本語教育実習を行いましたが、その時に交流した学生さんたちからお便りをいただきました。

  お便りを下さったのは、香港中文大学専業進修学院2年生のモモさんとヴィッキーさんです。以下に掲載します。

香港中文大学専業進修学院 応用日本語学科2年生 巫啓俊(モモ)さん

 去年に続いて今回このプログラムに参加し、京都ノートルダム女子大学の大学生たちの授業を受けました。皆さんの授業を受けたおかげで、自身の今まで勉強した内容を復習できたばかりでなく、新しい単語や言葉遣いも学びました。例えば、「ファン」という言葉を皆さんの授業で勉強しました。皆さんの授業は、熱意にあふれていて、私たちの質問対して、すぐにうまく答えられなくても、皆さんはいつも私たちの質問に対して一生懸命説明してくれました。とても感動しました。

 このプログラムのおかげで、日本の大学生と交流する貴重なチャンスをもらい、様々なことを話しました。例えば、実習生の皆さんが香港に来て驚いたことや、京都にある大学の数は日本で第二位であることや、関西弁のことなど、とても楽しいお話ばかりでした。その中で、私が一番びっくりしたのは香港人と日本人では、関西弁に対するイメージが違うことです。香港人にとって、関西弁の発音はかわいいイメージを持つ人が多いのですが、日本人(とくに関東の方)にとって逆に関西弁は怒っているようなイメージを持つ人が多いそうです。文化の違いをはっきり感じました。

 大学生と交流した以外に、堀先生からは古文のことについて存分に教えてもらいました。このプログラムを通して、皆さんと交流でき、学校で学べないことをたくさん聞いて、とてもいい勉強になりました。今年も学校のスケジュールのせいで皆さんの授業を全て受けられなかったのは一番残念なことでした。しかし、このプログラムに参加して、皆さんと出会えて、話しができて、本当に良かったと思います。



   (香港中文大学将軍澳キャンパスで記念撮影、右から3人目4人目がヴィッキーさんとモモさん)


香港中文大学専業進修学院 応用日本語学科2年生 何詠琦(ヴィッキー)さん

 今年も楽しみにしていた京都ノートルダム女子大生の授業が見学できる日がやって来ました。普段の授業内容と違って、教科書には載ってないような単語も勉強できました。例えば「○○推し」などは初めて学びました。これらの言葉は日本人にとって当たり前のように使われてるかもしれませんが、私にとっては見たことのない新しい世界を見たようで非常に興味深いです。

 このプログラムのおかげで、日本の大学生と交流でき、たくさんのことを教えてもらいました。日本語の勉強は文法や語彙も大切ですが、やはり実際に日本語を使って話すことがとても大事だと思いました。これをきっかけに知りたいと思っていたことをみなさんから存分に聞きました。堀先生とお話しした時にうかがった、和歌のことや大阪と京都の関係のことも心に残っています。特に嬉しかったのは大好きな関西弁のことが聞けたことです。学校で学べない知識ばかりなので、とてもいい勉強になりました。

 一番残念だったのは学校の授業と教育実習の授業が殆どぶつかって、大学生たちの授業に参加できる時間が足りなかったことです。しかし、参加できる時間が僅かしかなくてもお互いの交流の邪魔にはなりませんでした。みなさんと話したり食事に行ったりすることができ、本当にうれしかったです。みなさんに出会えて良かったと思います。



  (旺角〔モンコック〕近くのレストランで交流お食事会)




  


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2018年03月31日

香港日本語教育実習レポート  田中ひかるさん 3(完)


実習を終えて 3(完)

     京都ノートルダム女子大学 人間文化学部 人間文化学科3年次生 田中ひかる


 今回の実習では、特にCUSCS(香港中文大学専業進修学院)1年生AクラスとCクラス、2年生Bクラスのみなさんにはお世話になった。私たちの授業に来てくれたのは、1年Cクラスの学生たちが多かった。最初の授業では、1番後ろに座っていたのに、最後の方は、1番前を陣取るようになっていたのが嬉しかった。

 最後の文化の授業も、ふだんは授業がない日なのに、1年Cクラスを中心に、わざわざ多くの学生たちが受講しに来てくれた。中にはアルバイトを休んでまで来てくれている学生もいた。Aクラスにも「最後の日の文化の授業、来てね」と声をかけていたので、多くの学生が来てくれた。


 (湾仔〔ワンチャイ〕駅でSCS1年生のキーさんが自撮りしてくれる)

 文化の授業が終わった後で、1年生Aクラスの人たちから手紙をもらった。自分が知っている日本語を最大限に使って書いてくれているのがとても伝わる文面だった。全日程が終わったら、Aクラスの男子たちからご飯に行こうと誘われていた。学校の近くでお昼に行く予定が、急遽Cクラスの学生たちも一緒に行くことになり、学校からバスに乗って九龍の街まで出かけて行った。


  (受講してくれた学生さんから手紙をもらう)

 楽しい食事が終わって帰途に就こうとしたとき、宿泊先のホテルに戻る約束の時間に遅れそうなタイミングになっていたので、香港の学生たちがみんな「自分たちのせいだから、堀先生に謝りに行く」と言って、私たちをホテルまで送り届けてくれた。その完璧な心遣いには、本当に感激した。


  (『みんなの日本語』第1課の授業)


 実習最終日となった自由観光の日も、同じメンバーと一緒に過ごした。朝からホテルまで迎えに来てくれて、紙袋いっぱいのお菓子とCクラスの代表からお手紙をもらった。そのおみやげをいったん部屋に置いてから、ミニバスに乗って香港のリゾート地として有名な赤柱〔スタンレー〕に向かった。香港の伝統的な朝ごはんを食べることを企画してくれていた。一日赤柱を観光したが、いろんなところを案内し、一生懸命日本語で説明してくれた。

 その後、ミニバスと電車を乗り継いでカラオケに向かった。日本語の歌ばかり歌ったが、みんな本当に上手で、日本の歌が好きなんだなと感じた。そして、カラオケの最後の曲の画面に「来てくれてありがとう またきてね」という文字が日本語で現れたのには驚いた。きっと店を予約したときに、スタッフに頼んでいたのだろう。とても感動した。


  (カラオケ画面に浮き出たメッセージにびっくり) 

 最後にみんなで写真を撮った。手紙も渡すことができた。別れ際には、私たちが乗ったトラム(路面電車)を走って追いかけてきてくれ、まるで映画のワンシーンのようで、思わず泣いてしまった。Cクラスの学生さんからもらった手紙には、「いろんなところに連れていけなくて残念です」と書いてあった。十分あちこち連れて行ってもらったのにと思った。


 (トラムの駅で別れを惜しむ)




 2年生の学生たちともたくさん関わることができた。見学に行けないクラスもあったのは残念だったが、私たちの授業に来てくれたので、親しく交流することができた。みんな本当にいい人たちで、いろんなところに連れて行ってくれた。私たち実習生4人の好物を覚えていてくれていて、それぞれに別々のプレゼントをもらった。火鍋のレストランなど、香港のご飯屋さんをたくさん案内してくれた。

 風邪気味で咳をしている私を見て、「これが効くよ」と言って薬を買ってきてくれたり、本当にうれしくなるほど親切にしてもらった。2年生たちは、私たちが日本に帰る時、時間や距離もいとわず、空港まで見送りに来てくれた。せっかく来てくれたのに、微熱があり喉が痛かったので、みんなに全然話しかけられなかったことがとても申し訳ない思いだった。



  (SCS 2年生B組のみなさん  鰂魚涌〔Quarry Bay〕の駅にて2ショット・タイム)



 今回の実習でたくさんの人々に出会うことができた。日本人よりも日本のことが大好きな学生たちばかりなので、それに答えないとという思いでみなさんと接した。香港の人たちにとって同い年ぐらいの日本人と話をする機会はとても貴重なことなのだと実感した。日本語を勉強している生徒や学生たちに現地で出会えて私にとってもすごく貴重な体験となった。今でも毎日香港の人たちと連絡を取っている。行く前はあんなに気乗りしなかったのに、来てよかったと心から思える実習になった。一生の思い出になったと感じている。  (完)


 (香港島北角のレストラン・富臨皇宮にて香港在住の大学・専門学校の先生方と会食)








  


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2018年03月30日

香港日本語教育実習レポート  田中ひかるさん 2


実習を終えて 続

     京都ノートルダム女子大学 人間文化学部 人間文化学科3年次生 田中ひかる


 私の授業はたくさんの学生が受けに来てくれた。中級(『みんなの日本語』第37課)の授業は、2日目だったので、ある程度出席者の名前を覚えていた。直前に見た小林さんの授業が予定よりずいぶん早く終わってしまったことを考慮し、急遽小林さんにも手伝ってもらって、用例を全部実演コント形式にして示すことにした。それを見て学生たちが笑ってくれたりしていたので、やはり導入時における文例の提示は、できるだけ具体的に行ったほうが効果的なのだと感じた。


 (大教室で初級日本語クラスを担当)



 前日に見た周先生の授業のように、なるべく学習者とのコミュニケーションを重視して授業をすることを心がけた。私たち日本人よりも香港の学生さんの方が考え方が柔軟で、応用練習の際にもユニークな発言をたくさんしてくれた。そのおかげで教室全体の雰囲気が活発で明るい雰囲気になり、学生さんたちに助けられた授業だった。計画した時間通りに授業を進めることができ、一安心だった。


 (学習者とのコミュニケーションを心がけ、教室は明るく活発な雰囲気に)


 初級のクラス(『みんなの日本語』第1課)は、教室が広くなったことと、はじめて出席してくれた学生が9人ほどいた。彼らの学力がどのレベルなのかが分からなかったが、一応ゼロ初級の学習者であることを前提として授業を行った。人数が多かったので、出欠を取るときに時間がかかりすぎ、少し速足の授業になってしまった。もう少し余裕を持って授業に臨むべきだった。


 (天水圍にある順徳聯誼総会翁佑中学日本語クラスで紙芝居「かさじぞう」とクイズで交流)


 焦ったからか、まだ習っていない表現を口に出してしまったりすることが多々あった。また、関西弁のアクセントがどうしても時々出てしまった。この2回目に行った初級クラスの方が、余裕がなかった分、反省すべき点も多かった。


 (クイズのあとは、班ごとに交流)


 文化紹介の授業では、紙芝居とクイズを行った。普段の授業では賑やかな学生たちが、紙芝居の時は全員が静かに真剣に聞いているのが印象的だった。クイズでは今の日本の文化を知ることができて楽しかったという意見がとても多かった。頑張ってクイズを作ってよかったなと感じた。  〈続く〉


 (香港中文大学専業進修学院の学生たちと香港のリゾート地、赤柱〔スタンレー〕へ観光ツアー)


   


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2018年03月29日

香港日本語教育実習レポート  田中ひかるさん 1


実習を終えて

     京都ノートルダム女子大学 人間文化学部 人間文化学科3年次生 田中ひかる


 実習に行く前は、授業準備に追われていた。出国2日前に紙媒体から、パワーポイントに変更したのが最も苦労した点であった。全員が模擬授業もじゅうぶんできないまま出国したので不安な点がとても多かったが、今回の実習で、様々な経験をすることができた。


 (香港中文大学専業進修学院の学生さんたちとキャンパス近くのレストランでランチタイム)


 2週間も海外に行ったことがなかったので、行くまではとても不安だったが、SCSでの実習が始まってからはとても楽しい日々が続いた。日本よりも素直な学生さんが多く、自分の意志で日本語を学びに来ている人ばかりなので、学習意欲が日本の学生とは全然違うという印象を持った。日本のアニメが好きだから日本語を話せるようになりたい、日本に留学したいから日本語をもっと勉強したいという学生さんが何人かいた。


 (同学院2年生の学生さんたちと湾仔〔ワンチャイ〕のレストランにて)

 プロの先生方の授業をたくさん見学させていただき、貴重な体験だった。どの先生の教え方もそれぞれ異なり、独自の方法をとられていた。私たちが大学で日本語の教え方として学んだ授業の方法をとっている先生はいらっしゃらなかった。短い期間で日本語を習得させなければならないということもあり、アクティビティなどを入れるのは難しいのだろうなと思った。


 (『みんなの日本語』第1課ー初級日本語クラスの授業を担当)

 飯田先生の授業は楽しいと多くの学生さんが言っていた。教室に質問を多く投げかけたり、学習者の発言をすべて褒め、受けとめて、授業にうまく活かされていた。先生に当てられるとどうしても恥ずかしがったり、間違えたらどうしようと思うものだが、飯田先生は、学習者の発した言葉を「正解!」と言ってから、間違った内容についてはさりげなく訂正されていたのがとても印象的だった。そのほうが当てられた学生も、何か自分の言葉で言ってみようと前向きに考えるに違いない。


 (飯田由美先生の日本語クラスでご挨拶)

 香港では、一コマの授業が3時間のものもあるので、授業の後半は生徒も先生もしんどそうで、居眠りをしている生徒もたまに見られた。


 (実習授業のお昼によく食べたテイクアウトのお弁当、餃子がたくさん入っていておいしい。飲み物は豆乳)

 初日に見学させていただいた周先生の授業も学生さんの間では人気があった。一方的な講義ではなく、先生が頻繁に声掛けを行い、また学生のほうからもしょっちゅう先生に話しかけるので、文法の授業なのに、それ自体が日本語コミュニケーションの授業にもなっていた。周先生に教えてもらっているという学生から、「授業で日本の高校生が使うと習ったんですけど、こんな表現、使いますか」という文章付きで、以下の写真が送られてきた。




 「~というのはどういう意味ですか」を学習する授業で、周先生が配布されたプリントだそうだ。私も聞いたことないものばかりだったので、大変驚いた。私たち以上に日本のことをいろいろ詳しく学んでいる様子だった。  〈続く〉



  


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2018年03月27日

香港日本語教育実習レポート  小林愛美さん


実習を終えて

     京都ノートルダム女子大学 人間文化学部 人間文化学科3年次生 小林愛美



 本プログラムでは、日本語教員としての活躍を目指す中で、一番の課題でもあった「他者(学習者)理解」という点について、実践的かつ現実的な経験を得ることができた。日本での模擬授業では多くの指導技術・方法を学ぶことができたが、これまで学んできたことが実際にどれほど現場で通用するのかについて知ることができたのは、自分自身の力試しという意味でも、そして教育現場の現状把握という意味でも、大きな意義があったと感じる。


 (香港郊外天水圍にある順徳聯誼総会翁佑中学〔高校に相当〕で生徒たちと交流)


 香港で日本語学習がどのように行われ、どのような人に必要とされているのか、また、どのような理由で学ばれているのかについて、自身の目で確認できたことは、日本語教育の実態を把握するという今回の一目的を達成させた、尊い体験となった。日本語を学ぶ生徒との交流では、生徒たちが日本語学習への期待を強く抱いていることや、個々の高い学習意欲を改めて感じ、自身の使命感、やる気にも繋がった。特に自身と年齢の近い生徒との交流は、異文化交流としても大変に興味深く、かけがえのない経験となった。


 (すべての授業を終えて香港中文大学専業進修学院の学生たちと記念写真)

 現地の方々の暖かい出迎えともてなしには、あらゆる場面で感動を覚えた。学習者全員が、今後も日本や日本語に対して絶えない熱意を抱き続けてくれるように、教員の止まることのない教育方法の創意工夫・発展が必要であると感じた。


 (烏渓沙にあるYMCA青年新村〔青少年野外活動センターのような施設〕を見学)

 実習中には、様々な先生とお会いし、授業を見学させて頂くことができた。実際の現場で活躍される先生方の技術を真近で体験できたことは、とても充実した活動だったと感じている。香港中文大学専業進修学院では、日本語文法、会話の他に、歴史や文化を学ぶ授業や、書き言葉、就職・進学の面接を意識した応答練習の授業に参加させて頂いた。同じ内容でもクラスによって指導法を変えていたり、突然出てきた疑問には授業を中断してでもその場で迅速に解答を出すなど、現場だからこその技術、工夫を見ることができた。

 香港日本文化協会でも、初級から上級まで様々なクラスを見学させて頂き、各レベルにあわせたバラエティに富む指導法を学んだ。休日でありながら、学生から社会人まで多くの学習者が受講していて、香港における日本語教育の需要の高さを目の当たりにした。

 
今回の実習で一番強く実感したことは、日本語研究の至らなさ、未解明さであった。母語話者である我々には感覚的に理解できることであっても、非母語話者の学習者にとってはロジカルな文法ルールが明確に存在する方が理解しやすいということがわかった。それにしては、日本語文法・語彙にはまだ明解に及ばない部分が多くあるように感じた。私が今回担当した上級日本語クラスの授業、オノマトペという分野は顕著にそうで、現在の教育法は暗記以外の方法が行われていなかった。他にも「もらう」「くれる」「あげる」の識別や、「しても」「したら」、助詞「は」「の」など、学習者が理解に苦しむ分野には偏りがあって、そのどれもが、文法的な説明や解説というより、例文を多く用いながらニュアンスを掴む、というような学習方法がとられていた。それらの指導法が決して悪いものだとも思わないが、もっと学習者にとって理解しやすい説明方法があるのではないか?と疑問を持つ瞬間が度々あった。


 (白衣を着用して医者になり、患者役の学生に症状を言わせるオノマトペの授業)

 しかしそれと同時に、今の私にはそれらについて明白な説明が迅速には用意できないということにも気付かされた。私自身の理解不足・知識不足を痛感したことはもちろん、日本語という言語そのものが、まだまだ研究途上のものであることを実感させられた。


(マカオの世界遺産・聖ポール天主堂跡で旅游学院の学生たち、須田孝司先生と記念撮影)

 今後は日本語学習者の思考と価値観に寄り添った学習方法を探求しながら、更なる日本語研究に励んでいけるよう努力したい。また、実習の終わりには先生方とお話させて頂く機会もあり、母語話者の教員を必要とする声を多く伺った。香港で現役教員として活躍される先生方と今後もコンタクトが取れるようにご配慮頂いたので、引き続き教育現場の生の声に耳を傾けながら、新鮮な疑問・課題に向き合っていけたらと思う。



  


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2018年03月26日

香港日本語教育実習レポート  池田早貴さん


実習を終えて

     京都ノートルダム女子大学 人間文化学部 人間文化学科3年次生 池田早貴


 実習に向けて授業準備をしたり文化交流の準備をする中で、どんな学生を相手に授業を行うのか、私自身きちんと学生を相手に授業ができるのだろうか、また初めての海外渡航ということもあって香港はどんな場所なのかなど、様々な不安がありました。でも、実際香港実習に行ってみると学生たちは歓迎してくれ、先生方もとても優しくしてくださり、授業見学などでは大変お世話になりました。




 実習授業では、学生たちとコミュニケーションをたくさん取ること、学生がただ聞くだけではなく主体的に参加できるような授業をしてくださいと指導教員から指示されていました。実習授業にはたくさんの学生が参加してくれましたが、特に初級授業ではまだ日本語を習い始めた学習者に向けて授業を行うので、指導教員からの指示はとても重要なものでした。実際、授業では学生たちに質問をしたり学習者自ら考える時間を設けて発表させたりして、活発な授業が行えたと思います。




 指導教員のアドバイスもあり成功したのですが、初級授業の前に行った上級クラスの授業の失敗が初級の授業で活かされたように思います。上級の授業では、最初の授業ということもあって、あまり学習者を見ることができず授業が終わってしまい、先生たちから聞かされるまで授業についていけてない学生がいたことに気が付きませんでした。

 その時は、ほかの学生がフォローしてくれたこともあり何とか授業になりました。その反省をふまえたうえで先生のアドバイスを受け授業に臨んだことが成功につながったのだと思います。


(天水圍にある順徳聯誼総会翁佑中学〔高校に相当〕で紙芝居「かさじぞう」を披露)

 実習授業以外にも、香港の高校の1クラスででクイズ大会や紙芝居を披露し、高校生たちと話をして交流をしました。


 (同中学日本語履修生たちと日本語交流会)


 また、マカオへも行って、現地の学生さんたちに観光地を案内していただきました。どの学生もとても優しく日本語がまだあまり話せない人もいましたが、いろんな話をして交流することができました。

 今回の実習を通じて日本語を教える上でも英語や広東語など第二言語を習得することが望ましいなと痛感しました。


  (旺角にある上海料理店でお昼ごはん)


 実習中に体験したこと、今後の課題として自分なりに考えたことなどを、残りの学生生活に活かし、さらに勉強していきたいと思います。今回香港へ実習に行って得たものも多く、参加できて良かったです。たくさん友人がふえました。また会える日が楽しみです。


  


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2018年03月24日

香港日本語教育実習レポート  小坂実可さん

 実習を終えて

      京都ノートルダム女子大学 人間文化学部 英語英文学科3年次生 小坂 実可


 2月22日~3月5日までの12日間、香港で日本語教育実習をしました。12日間というのは長いと思っていたけれど、授業見学や授業実施、香港の学生さんたちとの交流などで時間が過ぎるのが早く、あっという間でした。


 (香港郊外・天水圍にある順徳聯誼総会翁佑中学〔高校に相当〕でクイズ・セッションを担当)

 私は2月26日と27日の2日間、初級と中級の授業を担当しましたが、1日目の授業は緊張してしまい、初級相手の授業なのにとても早く進んでしまいました。自分の指導案の準備不足、授業の練習不足で時間が余ってしまい、学習者にとってわかりにくい授業になってしまいました。緊張で学習者の顔をほとんど見られず、自分勝手に進んでしまい、コミュニケーションがとれなかったです。そんな授業でも、学習者のみなさんは静かに文句も言わず授業を受けてくれて、とても助かりました。


 (『みんなの日本語』第37課 受身表現の授業を担当)

 2日目の授業は、1日目の授業のようにはならないように進むペースを考えながら授業を行いました。そのおかげで50分時間通りに使えた授業ができました。ただ、指導案、PPTの出来上がりがとても遅かったので、完璧に成功したわけではありません。まだまだ改善点は山ほどありますが、それでも1日目の授業からすると2日目の授業は少し成長したと思います。落ち着いて授業をやろうと思うと、自然と学習者の目を見ながら授業ができ、1日目よりはコミュニケーションをとりながら授業を進めることができました。


 (香港中文大学専業進修学院の学生たちと交流)

 2日間の授業で先生という立場に立ってみて、反省することばかりですが、失敗という経験からいろんなことを学びました。日本語を教えることも大切ですが、それ以外にも、学生たちのことを知る、学生たちの立場になって考える、何よりもお互いが日本語を学ぶことは楽しいと思うことが大切なことなのだと気づかされました。


 (実習を終えてホテル近くの飲食店で夕食)

 毎日が初めてのことだらけだったけど、本当に行ってよかったなと思える12日間でした。学生さんたちも向こうの先生方も、みなさん真剣で優しい人たちばかりで、香港の暖かさを実感しました。教える立場で行ったけど、彼らから学んだことのほうが多いです。国境を越えて仲良くなれることはとてもすばらしいことで、出会えたことに感謝しています。


 (香港天水圍にある天主教培聖中学の生徒さんと一緒に香港ディズニーランドへ)





  


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2018年03月19日

香港中文大学専業進修学院での日本語教育実習を実施しました

  
  本学の日本語教員養成課程の最終科目「日本語教育実習Ⅲ」を今年も香港中文大学専業進修学院で実施しました。


 

  今回、海外での実習を選択した履修生は、4名の3年次生で、全員が初めての香港訪問でした(そのうち2名は初めての海外渡航)。

  就職活動解禁日がちょうど実習期間中に当たるので、履修をやむなく断念した学生もいましたが、今回の4名は、その就活上のリスクも覚悟の上、海外での日本語教育に臨みました。




  今年は日程調整が難しく、事前の準備活動にじゅうぶんな時間を確保できなかったので、授業を行うための指導案作成や模擬授業実施に少し不安を残したまま渡航することになってしまいました。

  しかも、今年は、旧暦の春節が遅かったこともあり、渡航2日目からいきなり授業を実施する日程になっていました。

  実習生たちは、毎時間、授業実施ぎりぎり直前まで、準備やアシスタントとの打ち合わせを行いました。

  その甲斐あって、全員落伍することなく、合格点に達する、よい授業をすることができました。

  そして、何よりも、その教えた学生たちとの交流が深まったのが最大の収穫だったと言えるでしょう。実習生たちは、口々に実習に来てよかった、beforeはあまり乗り気でなかったが、 afterは本当に香港実習に来てよかった思うと言います。


  
  授業実施以外の、他の大学・施設の見学や 国際交流も盛りだくさんでした。

  香港YMCAの烏渓沙青年村では、ドイツのインターンの学生さんと交流しました。



  香港日本文化協会では、授業見学だけでなく、飛び入りで紙芝居を披露したり、天水圍の順徳聯誼総会翁佑中学(実態は高校)との交流会では、たくさんのプレゼントをもらったりしました。





  また、マカオにわたって、旅游学院の学生さんたちとも交流しました。初めて食べるマカオ料理、見る者を圧倒する世界遺産・聖ポール天主堂跡、また10分だけ足を踏み入れたカジノ体験など、生涯忘れられないものになったでしょう。




  この実習が、日本語教員課程の科目履修にとどまらず、国際的な体験の第一歩となったとすれば、引率した者としてもうれしい限りです。

  4月には、今回の実習の成果発表会を行い、後輩たちの前でいろいろな体験や感想を語ってもらうことにしています。


 (重慶大厦で日本円を香港ドル紙幣に両替する)



 〔報告者:堀勝博〕





    


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