2022年03月18日

『コミュニケーション能力育成 ―音声表現研究をベースとした話しことば教育』 を上梓しました

随分と時間がかかってしまいましたが、2022年3月、これまでの主な研究をまとめ、
『コミュニケーション能力育成 ―音声表現研究をベースとした話しことば教育』
をナカニシヤ出版から上梓いたしました。




大きく次の3つのステップで研究を進めてきました。

第1部 コミュニケーション能力育成の手がかり

最初に、音声表現スキルを中心に、コミュニケーション能力育成のための手がかりを得てきました。

具体的には、大学生に求められる能力、職業社会で求められる能力、これまでのコミュニケーション能力育成に関する研究・報告、また音声表現スキル育成のための手がかりとして、効果的なコミュニケーション、音声表現の育成に関する議論、大学生の音声行動の傾向について概観し育成のための手がかりを得るというものです。

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◆第1部を通して

実社会で求められている通り、研究を通して、コミュニケーション能力の必要性を強く実感してきました。しかし、コミュニケーション能力の育成といっても、いったい何をどのようにしていったらいいのでしょうか。その中で、特に音声表現に光を当てて研究を進めてきましたが、話し方に関する一般書が世の中に溢れるほどある中で、そこでは見たことのない大変価値ある関連の研究知見があることに感動したことを思い出します。(これらの研究をされてきた皆様に、心から敬意を表します。)そして、それらの知見を基に実践的研究を進めてきましたが、大学生と社会人とで、音声表現に関する意識と行動に相違があることは、私にとって大きな驚きでした。
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第2部 音声表現スキルの育成

次に、音声表現スキルの育成に関する研究です。

ここでは、まず、短時間の学習プログラムをデザインし、実施の有無によって学習者の音声行動に関する変化について明らかにし、次に、指導上の留意点や実施における示唆を得てきました。さらに、それらを踏まえ、音声表現スキル育成のための大学の授業をデザインし、実施の上、受講者の変化等について質的に検討してきました。
 
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◆第2部を通して

音声表現スキルに光を当てることで、データから様々なことが浮上してきました。例えば、やってみて他の人の様子を見るだけで教示しなくても自身でわかること、教示がないと気が付かないこと、人によって羞恥心や抵抗感など感情面に違いがあることなどです。自明のことのようにも思えることですが、コミュニケーションに関することは、普段の生活に密着していることから、授業等で焦点化する場合、さまざまな工夫や配慮が必要であることをデータから確信することができました。また、学生たちがコミュニケーションに関する力をつけていくための、その在り方が徐々にみえてきたことから、授業者としても自信をもって取り組めるように思いました。
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第3部 話しことば教育の実践

最後に、この京都ノートルダム女子大学 国際日本文化学科で実施している「話しことばプログラム」についてです。

まず、これまでの研究をベースにデザインした話しことばプログラムについて説明しています。次に、それを適用した授業について述べました。さらに、実施後のアンケート調査から特徴を掘り起こし、履修してきた4年次生(就職活動終了者)のインタビュー調査から、話しことばプログラムの有用性について検討しました。

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◆この一連の研究を通して

コミュニケーションという汎用的技能に関して、実社会で役立つ学びの場を提供できないか。能力差、多様性の大きいコミュニケーション能力を高めていってもらうために、何をどのようにしていけばいいのか。就職予備校とは違う「大学」ならではの内容・方法を作り上げていけないか。この一連の研究には、このような様々な思いが込められています。人前で話すこと、コミュニケーションに関して、得意な人たちがもっと「できる」ように、また、苦手意識を持っている人たちが苦手意識から解放され、「楽しめる」ように、さらには、卒業してからも、「自信」をもって「応用」できるように、実社会に資するものになればと改めて思います。
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国際日本文化学科教員 平野美保
  


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2022年03月14日

マレーシア国立大学主催のオンライン学会発表

 マレーシア国立大学主催のオンライン国際学会が2021年9月に
行われ、そこで研究発表(英語)をしました。
 邦題は「日本の大学生のアラビア語学習動機づけにおける
自律性に対するアラブ文化への興味の影響」です。



 この研究は学会で発表された研究のベスト10に選ばれました。
 名古屋工業大学鷲見克典教授との共同研究です。



 この研究の目的は、アラビア語を自分から学ぼうとする性質(動機づけにおける自律性)は、アラブの観光、宗教、文学といったアラブ文化への興味があるほど強いだろう、という仮説をたしかめることでした。アラビア語は日本ではあまり教えられていない、日常生活でみかけることの少ないことばです。こうしたことばを自分から学ぼうとする性質をあきらかにすることで、アラビア語の効果的な学習や教育にいかすことができます。
 アラビア語を学ぶ学生に調査を行い、得られたデータを分析しました。アラビア語専攻学生、アラビア語以外の外国語専攻学生、外国語以外の専攻学生の3グループについて、アラブ文化への興味がアラビア語学習動機づけにおける自律性に与える影響を検討しました。その結果、アラブ文化への興味は、3グループの学生いずれにおいても、アラビア語を自分から学ぼうとする性質に直接的な影響を及ぼすことが支持されました。さらにその影響は、アラビア語以外の外国語専攻学生よりも、アラビア専攻学生でやや強いこともわかりました。
 私は本学でアラビア語を教えるなかで、アラビア書道の映像やアラブのポップスを紹介したり、エジプト人講師からエジプトにおける俗信について説明していただくなど、アラブ文化を積極的に授業にとり入れる工夫を惜しみません。これはアラブ文化への関心を高めることで、アラビア語学習へのやる気を強くしていってほしいからです。

国際日本文化学科教員 鷲見朗子
  


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2021年03月15日

国際シンポジウム「西洋美術におけるユートピアの表象」で発表しました(2020年11月)

2020年は、コロナ禍により、私の所属する学会でも、
オンラインでの学会開催がすっかりスタンダードとなりました。

そんな中、11月28日に国際シンポジウム「西洋美術におけるユートピアの表象」で発表しました。
(主催:京都工芸繊維大学・日仏美術学会 助成:公益財団法人村田学術振興財団)
こちらは、京都工芸繊維大学の永井隆則先生(セザンヌの有名な研究者です)にお招きいただいたものです。

国際シンポジウムでは、時差や通訳など、多数の調整が必要になります。
ご準備くださった永井先生はじめ関係各位の皆様には深く感謝申し上げます。

全体の概要は京都工芸繊維大学のホームページにも掲載されています。
https://www.kit.ac.jp/2020/12/symposium-report20201128/

私のテーマは
『つかのまのユートピアとしての雅宴画とその系譜』
でした。

このシンポジウムは「ユートピア」をテーマにしています。
私は18世紀のフランス美術が専門ですので、そこに結び付けていくわけですが、
18世紀のフランスというと、ユートピア文学花盛りの時代なのですが、
それが絵画化されるということはありません。
そこで、ユートピア的な状況を描いた種類の絵画として、
「雅宴画」を取り上げて論じました。

雅宴画とは、着飾った男女が屋外で雅に交流する情景を描いた絵画で、
18世紀のフランスで生まれ、消えていった画題です。
雅宴画の嚆矢といえるのがヴァトー《シテール島への巡礼》(1717年、ルーヴル美術館所蔵)。
(シテール島への船出というタイトルでも呼ばれます。このタイトル自体が結構問題です)


そして、私が雅宴画のバリエーション(風景画に近いのですが、雅宴画なくしては生まれなかった、子孫といえるような作品)の最後の時期だと考えるフラゴナール《サン・クルーの祭》(1775~80年、フランス銀行所蔵)。


この2点の間の雅宴画の展開を「演劇との関係」「自然描写」「男女の振る舞い」の三つの観点から検討しました。

演劇の世界から生まれた雅宴画は、はかない虚構の世界です。しかし、それを構成している自然と人間の描写は、かなりの程度現実を反映していました。雅宴画は、18世紀の人々にとっては、現実の延長線上にあるユートピアだったのではないか・・・というのが結論です。

他の発表者の方々は、
古代、プッサン(17世紀の画家)、シャヴァンヌ(19世紀の画家)について、
充実した発表をされており、
(アメリカは早朝・イギリスは昼・日本は夜という状況ではありましたが)
扱う時代も発表する場所も壮大なシンポジウムでした。
自分としては反省ばかりなのですが、参加させていただけて本当に有難いことだったと思っています。
また、発表内容は、来年度に本学の紀要に投稿できたらなと考えています。

(吉田朋子)


  

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2021年03月04日

「エンべディッド・ライブラリアン」と情報行動

 タイトルに耳なれない言葉が並んでいます。「ライブラリアン」は、ご存知の方もいるかもしれませんが、図書館員、図書館司書のことを指す英語をカタカナにしたものです。「エンべディッド」は embedded という「埋め込まれた」という意味になります。図書館司書は、通常図書館の中で様々な図書館サービスを利用者に提供しますが、エンべディッド・ライブラリアンは、図書館を離れて、利用者のいる場所で主に活動する図書館司書のことです。利用者のいる場所、利用者が行なっている活動に「埋め込まれた」司書という意味になります。日本ではまだ普及していませんが、例えば、大学では、図書館司書が図書館ではなく、自分の担当する学部に常駐していたりします。研究グループの一員となって活動している司書もいます。
 また、情報行動とは、人々がどのような情報を必要とし、情報をどのように入手し、どのように利用しているかを探ることで、図書館情報学における様々な研究分野の一つです。エンべディッド・ライブラリアンが利用者の活動に埋め込まれた形で効果を発揮するには、利用者の情報行動をよく理解する必要があります。しばらく前から、アメリカの州立アリゾナ大学医学図書館におけるエンべディッド・ライブラリアンサービスの有効性について研究をしてきました。その上で、学生、研究者といった図書館サービス利用者の情報行動を利用者へのインタビューを行うことで把握する調査を進めてきました。コロナのこともあり、少し時間がかかってしまいましたが、最終の研究結果はこの4月に雑誌論文として刊行される予定です。(鎌田 均)


(アリゾナ大学キャンパス)  

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2021年02月24日

Zoomを利用した国際オンラインミーティング

今年度から、私はとある国際比較研究調査に専門家委員として参加しています。この調査は日本、中国、韓国の3か国の教育制度と教育改革の動向を探ることを目的としており、日中韓の研究者・専門家総勢20人余りが参加するかなり大規模なものです。私は調査報告書の取りまとめ役を仰せつかっている関係で、11月から12月にかけて報告書執筆に向けた国際オンラインミーティングに参加しました。

ミーティングは計8回おこないましたが、コロナ禍の中ということと、調査に参加した研究者・専門家が3か国(しかもそれぞれの国内でさらに各地域に)に散らばっているため、すべてZoomを利用して実施しました。日本、中国、韓国の各地をリアルタイムでつなぎ、3か国語が飛び交う中、通訳を交えつつ執筆内容について専門的な議論をやりとりしていくという体験はとても新鮮なものでした。「〇〇月△△日□□時(中国時間☆☆時)からZoomミーティングをおこなうので下記URLにアクセスしてください」とメールでアナウンスするだけで国境を超えてメンバーが一堂に会せるという状況は、1年ほど前には想像もできなかったことです。コロナ禍のため気軽に海外に行けなくなってしまいましたが、国際的な研究交流という点ではコロナ禍以前よりもぐっとハードルが低くなったように感じます。

ちなみに私の専門は比較教育学といって海外でのフィールドワークが必須の分野なのですが、これからは調査の仕方も少し変わっていくのではないかと思います。単に必要な情報をやりとりするだけなら、わざわざ現地に赴かなくてもよくなったからです。こうした状況において、その国・地域の空気を吸って、直に現地の人々と接することで得られる、論文には直接反映できない「肌感覚」のようなものを自分の研究の中でどう位置付けていくのか。私たち海外をフィールドとする研究者は、ポスト・コロナに向けてそうしたことを問われていくような気がしています。



上の写真は、まだコロナ禍が始まる前、韓国のとある学校を訪問した際に壁に貼ってあった子どもたちの作品です。


報告者: 国際日本文化学科 教員 石川裕之  

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2021年02月05日

堀勝博教授最終講義写真館

ユージニア館入口

会場



メインの歌



終了後


  

Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 12:13Comments(0)教員の研究活動日本語日本文化領域学科行事

2021年02月05日

君をばましてをしとこそおもへ ー堀勝博教授最終講義ー


 2月3日(水)18時より、ユージニア館NDホールにて、堀勝博教授最終講義が行われました。
 堀先生は、古代日本文学、とくに万葉集の歌について、独創的な着眼と精到な論証により、研究史上に新たな道標を打ち据えてこられましたが、2006年に教授として本学に着任されてからは、熱意をもって教育にあたられ、いささかの妥協もない厳しさで授業の準備をされる一方、学生に対しては、その温和なお人柄で学ぶことの楽しさを伝えてこられました。そしてにつねに私たちの精神的な支柱であり続けてくださいました。コロナ禍にあって、最終講義のご案内は学内のみとなりましたが、会場参加者は70名を越え、またZoomによる配信には国内外から50名ほどの参加があったことは、その証左と言えましょう。

 最終講義の題目は「和歌を読む楽しみ―和泉式部『萩』の歌を中心に」。先生は和泉式部の、

  人もがな見せも聞かせも萩が花咲く夕かげのひぐらしの声

を中心に、歌を読むとはどういうことかを語りかけられました。ときには会場の学生を指名され、指名された学生も生き生きとそれに答え、先生の語り口によって、いつしかホールは一つの学びの場となっていきました。先生は、一首の語彙や意味を説明され、歌われた情景を描き出されるとともに、「萩」と「夕かげ」と「ひぐらしの声」を体感したと述べられたのです。詩を理解するに、言葉や表現のうえでなされることは比較的容易です。一歩進んで、詩の言葉や表現から、その詩が喚起するイメージを受けとめることができる場合もあります。しかしながら、その詩を体験すること、詩と一体となってその詩的世界に入り込むことは希有なことです。先生によって古典文学の入口に立った人は多いでしょう。また、この日ホールにいた人も古典文学の入口にいたと言ってもいいでしょう。先生はそういう私たちに、詩の世界や詩を理解することの深遠を見せてくださったのです。それは、森重敏のいう「情意をつくして客観的であること」(『日本文法通論』1959)そのものであったように私には思われました。

 先生もおっしゃったように「萩」は、古来日本人に最も愛された花の一つで、万葉集以来、繰り返し歌われてきました。古今和歌集には

  秋はぎの花をば雨にぬらせども君をばましてをしとこそおもへ
                        (離別歌 397)

という紀貫之の歌もあります。講義が予定の時間に近づいていくにつれ、私には萩の花にもまして、最終であることが名残惜しく思われてなりませんでした。会場やZoomの向こう側もそうであったことでしょう。拙文のタイトルを「君をばましてをしとこそおもへ 」とした所以です。

                国際日本文化学科 教員 河野有時  

Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 12:09Comments(0)教員の研究活動日本語日本文化領域学科行事

2021年02月03日

東アジア文化交渉学学会での活動

                      
東アジア文化交渉学学会での活動


  私が所属している東アジア文化交渉学学会では、毎年5月の連休あけ、国際シンポジウムが行われるのが恒例です。日本、中国、ヨーロッパと毎年開催地を変えて、大会に参加しながら、世界中の研究者仲間と親交を温めるのも楽しみの一つです。
 2019年はドイツのエアランゲン大学で開催されました。その時に「Dologues Chinois-Latins 与『拝客訓示』 」という題で発表しました。2020年は中国の鄭州大学で開催する予定でしたが、コロナで開催が一度延期となり、結局11月にオンランで開催することになりました。皆さんと会えなかったのですが、初めてのオンライン学会で、インターネットが瞬時に世界中に散らばっている人々を一つの画面に集めることが出来るIT技術に驚嘆し
ました。その時に「漢訳聖書における音訳語に関する一考察」を発表しました。
 2021年の開催地は日本の二松学舎大学となっています。現在の参加申込者は300人を超える盛況ぶりです。心配するのはやはりコロナの収束状況です。もしかしたら、またオンライン会議になる可能性もあります。私は現在その会議の参加に向けて、研究活動を行っています。「First Lessons in Political Economyと『致富新書』と漢字翻訳語」というテーマで発表する予定です。今度の発表は明治期にアメリカ、中国、日本における一冊の経済入門書の翻訳に巡る漢字翻訳語を考察するものです。たとえば、Political Economyは今日では「政治経済学」と訳されますが、当時このような適切な用語がなくて、「致富」というかなり違う概念の単語に意訳されました。英語の原書と中国語訳書を比較しながら、その漢字翻訳語の適切性を考察していく予定です。
 果たして、どのような研究結果になるかまだ分からないですが、5月のシンポジウムを終了後にまた皆さんにご報告します。




ドイツのニュルンベルクにて


文責:朱鳳


  

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2021年02月01日

堀勝博教授最終講義:今週水曜日開催です(2月3日18:00)

先日お知らせした通り開催します。学外の方はZoomで参加できます。詳しくは以下をご覧ください。

https://notredameningen.kyo2.jp/e558886.html

*終了しました。(2月3日)  

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2021年01月08日

アラビア語によるオンライン学会での発表 鷲見朗子


最近の研究活動を報告させていただきます。

サウジアラビアの国立キング・サウード大学アラビア語・アラブ文学学科が
2020年11月10~12日に主催した第3回国際学会「外国の研究における
アラビア語・アラブ文学」で発表しました。

Zoomによるオンライン学会で、発表者は45名もいました。もともとは、2019年秋に
首都リヤドにある同大学から招待され、対面で行われる学会で発表するはず
だったのですが、まず同大学の都合で延期となり、その後、いつになるかと
思っていたら、新型コロナ感染拡大で、オンライン開催にするというお知らせが
来て、今回の開催となったのです。

学会プログラムから私の発表パネルの箇所をきりとってみました。
アラビア語なのでわからないと思いますが、発表者の1人目に私の名前が
載っています。アラビア語は右から左の方向へ読みます。



11月は通常の授業がある期間なので、学会が平日に開催されたら授業と
ぶつかってしまいますし、時差の問題もあるので、日本時間の夜中になったりしないか、
心配していたのですが、幸い私の発表は日本時間21時からに割り当てられていた
ので、無事発表することができました。

この学会は全発表がアラビア語で行われるもので、私もアラビア語で行いました。
参加者のほとんどがアラブ人の方のようでした。私は数少ない非アラブ人発表者の
1人だったようです。オンラインでアラビア語で発表するのは初めてだったので、
とても緊張しました。機器がうまく作動するかどうかも不安でしたが、何とか最後まで
発表することができました。

以下は、私の発表したパワーポイントファイルの1ページ目(発表題目と氏名)です。



私の発表タイトルは「『百一夜物語』 アラビア語から日本語翻訳における問題
とチャレンジ」でした。2011年に私が訳し、河出書房新社より出版された『百一夜物語』
の翻訳の経験を活かし、翻訳理論の基礎を述べた後、アラビア語から日本語へ
訳すときの問題点やその理由を考察しました。私のパネルではパネルの最後に
質疑応答が設けられ、私もいくつかの質問を受けました。質問によって
自分の発表でしっかり伝えられていなかった点が明らかになり、私の初のアラビア語
によるオンライン学会デビューは、とても貴重な経験となりました。


  国際日本文化学科 教員 鷲見朗子(アラブ文学、アラビア語教育研究)



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 13:41Comments(0)教員の研究活動国際文化領域(多文化理解)アラビア語

2021年01月07日

「堀勝博教授最終講義」開催:2月3日(水)

本学科の堀勝博教授が本年度3月末をもってご退職になります。国際日本文化学科、大学院人間文化専攻では、毎年開催している「文化の航跡研究会」で堀教授の最終講義を行うことになりました。開催日時、場所、題目は、以下の通りです。

2月3日(水)18:00〜19:00 

会場:ユージニア館 NDホール  

「和歌を読む楽しみ――和泉式部「萩」の歌を中心に」


現在の新型コロナウイルス感染状況により、学内のみへの案内となりますが、学外の方向けにZoomでのリアルタイム配信を予定しています。

*終了しました。(2月3日)  

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2020年12月29日

大学生のコミュニケーション能力向上のために

コミュニケーションの力を高めたいと考えている方はとても多いように思います。
今、グーグルで検索しますと、なんと!53,100,000 件もヒットしました。
世の中の関心の高さがわかるように思います。

ではどうすればその力を高めていくことができるのでしょうか。
そもそも、コミュニケーション能力とは何なのでしょうか。

中央職業教育開発協会(2004)が事務系・営業系職種において、半数以上の企業が採用にあたって重視し、比較的短期間の訓練により向上可能な能力を「若年者就職基礎能力」とし、その能力の一つである「コミュニケーション能力」を「意思疎通」「協調性」「自己表現力」としていました。

私が研究として取り組んでいる「コミュニケーション能力向上のための学修プログラムの開発」も、主に大学生を対象にしていること、授業を中心に育成していくこと、実社会へのスムーズな移行を想定していることから、この3つの力を柱にしています。
ちなみに、この3つ目の「自己表現力」は、状況にあった訴求力のあるプレゼンテーションのことを指しています。

この「意思疎通」「協調性」「自己表現力」は、コミュニケーション能力を、とてもうまく説明しているように思いますが、実際にそれを「育成」となると、どのような方法がよいのか難しい一面があります。

なにしろ、人によってスタート地点が大きく異なります。
もともと長けている人もいれば、そうでない人もいます。
苦手意識が強く、練習に対して羞恥心や抵抗感を持つ人も少なからずいます。
かといって、説明だけでは「理解」はしても、「行動」の改善には思うように結びつきません。


そのため、音声学や教育工学などの隣接諸領域の研究成果や、私自身のこれまでの音声表現の実践的研究をベースにモデルを考案し、それに基づき、実施できるよう実践的研究を進めています。

設計、実践(4年)、そして調査という方法をとっているため、やや時間がかかっていますが、その一部ながら、ようやく結果がまとまりつつあります。
また、何らかの方法で、その研究成果をご報告していきたいと思っています。



報告者 平野美保

  


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2020年12月01日

興味深い「論文」として ”リビング京都” で紹介されました!

本学科の吉田智子の研究内容が、「リビング京都 (2020年11月28日号)」で紹介されました。

「リビング京都」は、京都市内とその周辺地域に約40万部、毎週、無料で各家のポストに投函されているものです。

編集部の方がネットで研究内容の書かれた論文や活動報告を見つけて、2020年度からは小学校でもプログラミング教育が開始されているので、多くの読者の方々が興味を持つ、面白い研究テーマだと、取材に来て下さいました。




合計4名の京都の大学の先生の研究が紹介されており、それらは以下のwebでも読めます。吉田は3人目です。

https://kyotoliving.co.jp/topics/6850.html

また、webでは、リビング京都の誌面自体も見れるようになっていて、吉田が登場するのは2面目です。

リビング京都(2020年11月28日号)の誌面自体

この記事の中で紹介されている論文は、2020年度のPC Conferenceで発表した時の以下のものです。
吉田智子著「手芸や工作を利用して『情報の科学』を学ぶ授業実践 ―小学校での利用に先駆けた文系女子大学での実施報告―」
2020 PCカンファレンス、分科会発表論文、2020年8月 
https://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2020/papers/pdf/pcc003.pdf

取材に来て下さった編集者さんは、ネットでも読める以下の原稿を読んで、研究内容に興味を持ってくださったそうです。
吉田智子著 「手芸制作を通して楽しくプログラミング学習 ─ LilyPad Arduino でかわいくマイコン制御─」
情報処理学会誌「情報処理」2016年10月号に解説記事を執筆
https://www.ipsj.or.jp/magazine/9faeag0000005al5-att/5710peta.pdf


実際の紙媒体は、以下のような雰囲気でした。




この取材記事の中でも紹介されているように、本学ではプログラミングや情報科学を手を動かしながら学べる授業が実施されており、それを研究テーマにしている教員が紹介されたということでした。

報告者:吉田智子
  

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2020年04月13日

東京カテドラル聖マリア大聖堂「オルガンメディテーション」

 
 昨年12月13日(金)19時、東京カテドラル聖マリア大聖堂にて行われた「オルガンメディテーション」で演奏をいたしました。東京カテドラルでは「晩の祈りとオルガン音楽による瞑想」と銘打って、月に一度、オルガンの調べの内に祈りのひとときが人々に提供されています。



 ここは東京におけるカトリック教会の司教座聖堂(カテドラル)で、お寺で例えるならば大本山のような位置づけになる大きな教会です。東京都庁の設計でも有名な日本を代表する建築家丹下健三(1913-2005)によって設計され1964年に完成しました。外装はステンレス・スチール板で仕上げられ、半世紀以上経った今日においても非常にモダンな雰囲気を醸し出しています。



 大聖堂の内部はコンクリートの壁で覆われ、天井の高さは一番高いところで40m近く、残響は日本でも屈指の長さを誇ります。


 信者席の後方、2階のバルコニーには2004年イタリアのマショーニ社 (MASCIONI)によって製作された大きなパイプオルガンが設置されています。オルガンケースも大聖堂の外観に合わせたモダンなデザインですね。



 これはオルガンの演奏台(コンソール)です。ご覧の通り3段鍵盤+足鍵盤(ペダル)を備え、ストップ数46、パイプ本数3122本で教会のオルガンとしては日本最大規模の楽器です。音色の特徴としては、イタリア的な明るさと重厚さを併せもち、幅広いレパートリーに対応できる楽器となっています。日本の教会は残響の短いところが多いですが、ここ東京カテドラルではまるでヨーロッパの大聖堂のような本格的で素晴らしい響きをを味わうことができます。



 当日は補助席も多く追加されるほど大聖堂いっぱいの来場者があり、本学科の岩崎れい先生もお越しくださいました。当日演奏した曲目やその他詳しい情報は下記URLをご覧ください。https://cathedral-sekiguchi.jp/info/concert/8228/   
またこのオルガンで演奏できる日を楽しみにしています!

(国際日本文化学科教員 久野将健)

  

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2020年03月31日

国際図書館連盟における活動

 図書館といえば、どんなイメージをお持ちでしょうか? 本を借りるところ? 調べ物をするところ? もちろんそのための場所でもありますが、それも含めて、図書館は人類の知的遺産の多くを収集し、使いやすくコレクションとして構築し、人々に提供する機関です。そのために、理念から技術に至るまでさまざまな工夫と発展が欠かせません。国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions:IFLA)は、そのための国際的な機関で、毎年8月に開催される年次大会では、国立図書館長会議も開催されます。年次大会では、いくつもの委員会や部会に分かれて、文化遺産の保存・継承から最新情報技術の図書館サービスにおける活用までさまざまなテーマが議論されています。

 日本からは16人の代表委員を出しており、私は現在その中で学校図書館部会の常任委員をしています。学校図書館のサービスは、学校教育と密接に関係しており、国や地域によって学校制度が多様である現状の中で、学校図書館はどのようにこどもたちの読書や学習の支援をしていけばよいのか、ということについて、議論をしたり、ガイドラインを作ったり、具体的な方法を提示したりしています。




学校図書館部会のメンバー 2017年に開催されたブロツワフ(ポーランド)の会議で


 日本の学校図書館は、学校図書館法という法律のもとで、すべての小中高等学校に設置することが義務付けられており、また、児童書が豊富に出版されていること、学校教育が一定以上の水準に保たれていることなどから、比較的恵まれた環境にあるといえます。しかし、実際には課題も多く、他の国や地域の図書館を見学して参考にすることもよくあります。



Athens College(幼稚園から高等学校まである私立学校) 2019年のアテネ(ギリシャ)


 2019年に訪れたこの私立学校の図書館では、学校のカリキュラムと密接した図書館利用が特徴的でした。幼稚園でも、子どもの読書習慣を育成するための工夫が行われており、学年が上がるにしたがって、図書館の活用方法も変わります。国や地域によって、学校図書館の活用において何を重視するかは違います。日本では、長い間読書がそのサービスの中心でしたが、近年、学習における活用の重要性もかなり注目されるようになりました。リテラシー、すなわち読み書きする力の育成を重視する国もあります。また、学校図書館に限らず、図書館は、貧困と非識字の連鎖を断ち切るためのプログラムにも力を入れています。前アメリカ合衆国大統領のオバマ氏は、図書館は子どもにとって魔法の入り口であると言っています。図書館利用によってリテラシーが身につき、それが子どもたちの将来の選択肢を広げることになるから、と。



2017年開館のギリシャの国立図書館 イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏の設計


 古代から人類の文化活動を支えてきた図書館が、未来においてどのように変貌していくのか、図書館情報学に関わる研究活動は常に現場と深く結びつきながら行われます。ハドリアヌスの時代から図書館のあったアテネに、このようにな現代的な国立図書館が建てられたことは、その未来を象徴しているかのようです。
                                     (国際日本文化学科 教員 岩崎れい)




  

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2020年03月30日

18世紀のイタリア旅行記

 どの時代の美術を研究するにあたっても当時の一次資料を読まなければなりませんが、18世紀ヨーロッパの場合に重要なもののひとつがイタリアの旅行ガイド・旅行記です。古典古代文化・ルネッサンスの巨匠たちに憧れてイタリアに旅行する人々が18世紀には急増します。その需要に応えた出版物です。

中にはとんでもなく豪華な本もあります。その一つが、ジャン=クロード・リシャール・サン=ノン、通称サン=ノン師(Jean-Baptiste-Claude Richard Saint-Non, dit Abbé de Saint-Non,   1727-1791)による『ナポリ王国とシチリア王国のピトレスクな旅あるいは描写(Voyage pittoresque ou Description des royaumes de Naples et de Sicile)』です。1781年から86年にかけて出版された大型5巻構成、版画を贅沢に使用しています。

この本はなんといっても豪華なことで有名なのですが、対象とした地域が珍しいことも特徴です。当時イタリアに旅行する人々も、ナポリよりも南に足を延ばす人はまれでした。ところがこの本はイタリア南部・さらにはシチリアを紹介しているのです。実は編集したサン・ノン師も現地に赴くことができず、特派員のような人を派遣して調査したり風景をスケッチさせたりしています。

版画の質が高いのでしばしば展覧会にも出るのですが、文章の部分をきちんと読む機会が意外とない資料でもあります。そこで、せめてごくごく一部ですが日本語訳してみようということで、今年度本学が発行する『言語文化研究』に「研究ノート」として投稿いたしました。

膨大な項目のなかからわずか2か所について訳しましたが、ひとつはシチリア島・シラクーザの石切り場です。ここには石を切り出してできた巨大な洞窟があります。これは暴君ディオニュシオスが囚人たちの秘密を知るために作った牢獄だとされています。非常に音響の良い洞窟で、中の声がよく聞こえるので、囚人たちを閉じ込めて拷問したり秘密の会話を盗み聞きしたりしたという伝説があるのです。ちなみに、このディオニュシオス(紀元前432年頃-367年頃)は、太宰治『走れメロス』の暴君ディオニスのモデルです。



石切り場「ディオニュシオスの耳」の入り口(VP4巻下 図版116)

訳文はいずれウェブ上にも公開される『言語文化研究』をご覧いただければと思いますが、啓蒙の時代である18世紀らしいなあと思われる記述が次の部分です。

「しかし、そもそも石切り場は宮殿にさほど近くはない上、もしも石切り場が拷問場所とされていたのなら、こんな深さには掘っていないだろう。こんなにまで掘るには何世紀もかかる。暴君というのは自分の恐れや道楽に奉仕するには出来るだけ手っ取り早い手段を求めるものだ。それに、この洞窟では、二、三人の人が話しただけで音が混ざり合って非常に大きな音になり、混乱してまったく聞き取れないような騒音になってしまうのだから、こんなところで会話と声を理解して聞き分けてたどるなどまったく不可能なのだ。」

つまりはディオニュシオスが拷問場所にしたにしては深く掘りすぎている、とか、ここでこっそり話を聞くのは無理だ、とかといった突っ込みを入れているわけです。この旅行記を読む人たちはおそらくシチリアに行く機会はまずなかったでしょうが、この記述を読んでずいぶんと面白がったのではないかと思います。

またもう1か所は、自然の驚異を紹介した例として、やはりシチリア島の巨大な栗の木に関する記述を訳出しました。こちらでも、地元に伝わる伝説に細かく突っ込みを入れているのが興味深いところです。「大きな栗の木の下で」という歌となにか関係があるのかなと思いましたが、それはどうやらないようで、少し残念でした。



「エトナ山の有名な栗の木 『百馬力』」


美術史の研究は、作品を見ることが基本ですが、1次資料をできるだけ幅広く読んで、当時の時代の空気を理解することも重要なことです。

(国際日本文化学科 教員 吉田朋子)



  

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2020年03月23日

研究活動報告  ―― 堀勝博

 研究活動について報告するよう求められましたので、書くことにします。

 私は、本学では、国語科教員免許課程、日本語教員養成課程を担当していますが、専門は古代日本語、古代和歌文学の研究です(以前、当ブログでも報告しました)。

 この3月に、拙文が2件、刊行されますので、ご報告します。

 一つは、去年6月に学科で実施した公開講座「小泉八雲 多文化の協奏 Kwaidanと怪談」のパネルトークで発表した「蓬莱」について、話の概要を3ページにまとめました。

 「蓬莱」というと、「豚まん」(これは関西の言い方。他の地方では「肉まん」)を連想する方が多いでしょうが、そうではなく、古来、仙人の棲む不老長寿の国のことであり、同時にそれは「日本」を意味する語でもありました。ギリシャ生まれで、アメリカの新聞記者を経て日本に移り住んだ小泉八雲(Lafcadio Hearn)が、なぜ『Kwaidan』という作品集の最後に、お化けが出るわけでもなく、恐ろしくもない「蓬莱」という文章を書いたのか、私なりに考察してみました。


               (京都ノートルダム図書館蔵『山海経』より 蓬莱の図)


 もう一つは、「京都ノートルダム女子大学紀要」第50号に掲載予定の論文「井戸茶碗名義考」です。「井戸茶碗」という茶碗は、茶道をなさる方は聞いたことがあると思います。高麗茶碗の一種で、名品中の名品として知られ、日本にのみ百数十碗伝来しています。

 私は、茶の湯の心得はありませんが、この「井戸茶碗」という名称に、若い頃から興味がありました。なぜ「井戸」というのかなあ、と。茶道に関わる昔の人々も、最も有名な茶碗だけに、その名前の意味について、あれこれ考察をしてきました。今回調べてみたところ、もういろんな人が言いたい放題の説を立てており、諸説紛々たる状況でした。

 これについて、私なりに整理し、一応の見解を立ててみました。もしご興味があるようでしたら、本学紀要最新号をお読みください(本学学術情報センターリポジトリでも公開される予定です)。

 私が出した結論は、井戸茶碗に特徴的な、カイラギ(梅花皮)をヒントにしました。カイラギとは、鮫の皮のように、細かくつぶだって割れたように見える模様のことです。それを見た茶人たちが、「井戸」という名称で呼んだのだと結論づけました。詳細は、論文にて。




(カイラギ:サメの皮のこと。また井戸茶碗に特有の器肌の模様。写真は鮫皮を使ったおろし器。   大富農産のホームページより転載



 現在は、もっぱら、兵庫県播磨地方の和歌について研究しています。こちらは、いつになるかわかりませんが、書籍としてまとめられればと思っています。


(令和2年3月21日記)






   


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2020年03月03日

フェイクニュースと図書館の関わり

 先日、国立国会図書館が刊行している『カレントアウェアネス』という雑誌に「フェイクニュースと図書館の関わり:米国における動向」という記事を執筆しました。フェイクニュースという、いわゆる偽のニュースが近年世の中で問題となっています。この記事では、そのフェイクニュースの定義、特徴などについて検討し、それが映し出している今の社会、情報環境における諸問題について述べています。



 図書館は、様々な情報を人々に提供する役割を持つ場所として発展してきました。そのため、フェイクニュースの問題は図書館と無縁ではなく、図書館にとっても、フェイクニュースのような誤った情報が人々に流されることは大きな問題とされています。この記事ではアメリカの図書館の動向として、フェイクニュースへの人々の関心を高めるための様々な取り組みを紹介しました。

 先日、学内において国際日本文化学科、大学院人間文化専攻主催の「文化の航跡研究会」を開催しました。そこでこの記事の内容を少し発展させた話をさせて頂きました。

(文:鎌田 均)


  

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2020年02月05日

デトロイトでの研究発表

2019年10月末に、
デトロイト(Detroit, Michigan USA)で開かれた
Association Business Communication の2019 Annual Conferenceに参加し、
ポスター発表をしてきました。


デトロイトは、かつてアメリカの象徴として自動車産業で繁栄していましたが、
デトロイト市の破綻申請によって、世界中に衝撃を与えた都市です。

(ホテル前)

ですが、現在は、写真の通り、整備が進み、急速な復興を遂げつつあり、
短いステイながらも、その様子を垣間見ることができ、
破綻から再生という大きなエネルギーを実感してきました。


さて、今回の学会参加では、口頭表現に関わる授業で、
このように行うと学習者はどのように受け止めていくのかについて報告してきました。

研究に対する意見、質問を受けることで、さらに深めることができました。
また、これは日本での取り組みですが、
それを通して、海外での取り組みなどもうかがうことができ、
とても意義ある時間となりました。


留学生を含めた日本人学生を対象に、
実社会で役立つ日本語のコミュニケーションに関する学習プログラムの開発をしていますが、
グローバル化を踏まえた教育・支援が必要だと思っています。

それだけに、今回の発表は、研究成果を報告し意見等をいただくだけではなく、
今後の学生への教育・支援
(研究としては、グローバル化を踏まえての学習プログラムの開発)にも結び付く、
大変貴重な時間となりました。


報告者: 国際日本文化学科 日本語日本文化領域 教員 平野美保

  


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2019年12月25日

北京での研究発表

 
去る10月18日〜21日まで、北京で世界漢語教育史研究学会が開催されました。私も他大学の教員と一緒にこの学会に参加し、発表をしてきました。

 この学会は世界中の人々の中国語学習史、教育史を研究する研究者の集まる学会です。私は日中近代語彙史を研究する一環として、宣教師の中国語学習、中国語翻訳も研究しています。今回は「宣教師の著作にある上海方言―『地理志問答』を資料に」というタイトルで発表しました。








 


『地理志問答』(1853)はアメリカ人女性宣教師(M.A. Posey)が上海の小学生のために上海語で編集した世界地理の教科書です。この小さい教科書の中に、16世紀に来華したイエズス会宣教師たちが作った地理翻訳語「地球、赤道、溫道、寒道」などが受け継がれています。また、「土股(peninsula)、海股(gulf)」のような、独自の翻訳語も、創意工夫により、作られました。残念ながら、これらの言葉は後により正確で、洗練された「半島、海湾」に置き換えられました。しかし、これらの言葉は無駄だったのではなく、翻訳語誕生過程のひとこまとして、非常に有意義なものだったと考えられます。











 

その他、『地理志問答』は19世紀の上海語で書かれているため、現代人のわれわれに、音訳語に関する170年前の貴重な上海語資料ともなりました。例えば、四角倫(蘇格蘭、Scotland)、司陪嗯(西班牙、Spain)、雖遁(瑞典、Sweden)など、興味深い表記を見出すことができます。ちなみに、括弧のなかの漢字音訳語は昭和初期まで日本語としても使用されました。


 宣教師たちの翻訳書を通して、彼らの中国での文化活動の一端を見ることが出来ました。彼らは宗教活動のために、当時の中国の知識人層で使われていた官話(Mandarin)を学習しただけではなく、民衆の間で使われていた方言も一所懸命勉強し、東西文化の伝道師の役割を務めました。











 

今回の発表は私の研究の一部でしかありません。宣教師の文化活動についての研究はまだまだ続きます。


(報告者: 国際日本文化学科教授 朱鳳 〈しゅ ほう、日中近代語彙交流史〉 )

  


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