2015年12月09日
古典ゼミ制作『京都動物ものがたり』が完成しました
「日本語と古典文化」ゼミ4年次生が卒業研究として共同制作した『京都動物ものがたり』が完成しました。

京都を舞台とする日本の古典文学作品から、動物が登場する話を32編選び、子ども向け(小学校中高学年以上対象)の絵本を制作しました。5名のゼミ生たちが、この1年半にわたって取り組んできた成果です。
ゼミ開始当初は、各自別々に古典文学や日本語に関する卒業研究のテーマを考えていたのですが、どうせなら、みんなで協力して一つの作品にしたほうが、スケールの大きなものができるのではないかということで、二年前の先輩たちが作った『京都百人一首歌かるた』にならい、このような形ある作品を作ろうということになり、昨年の秋から活動を始めました。

古典文学で、動物が出てくる話の中から、おもしろそうなもの、子ども向けのお話になりそうなものを厳選していきました。あまりにグロテスクなものや残酷な話は選外としました。
春休みも連日図書館に詰めて、ラーニングコモンズに図書を山積みし、みんなでさまざまな書籍を読みあさりました。夏休みの頃からは、選んだ作品を子ども向けの文章に書き改め、一つの作品を400~800字に収まるように工夫しました。そして、同時に、そのお話の内容にふさわしい挿絵を画いていきました。作画の心得もないゼミ生たちですので、拙いものになったのはやむをえませんが、何回も画きなおしたり何日もかけて画いたりして、努力の結晶の数々と言えるでしょう。
そういうわけで、当初の予定より、少し遅れて、先日ようやく完成した作品が印刷会社から届けられました(写真は、公共図書館への寄贈発送作業を行うゼミ生たちです)。
この制作活動は、さいわい、この5月に京都市左京区役所の「左京区まちづくり活動支援交付金」助成対象事業に指定され、その補助金によって、絵本を出版することができました。

左京区役所のホームページにも掲載されているように、このゼミ生たちの活動は、
京都を舞台にした古典文学作品の中から,動物が登場する物語を取り上げ,子どもたちにも読みやすい平易な文章とイラスト・挿絵を配した「京都動物物語絵本」を制作・出版し,その読み聞かせ活動を近隣の図書館や幼稚園などで行う。
という趣旨で計画されたものですので、今後図書館や小学校での読み聞かせ活動を行う予定です。
早速、きのう大学に近い京都市北山ふれあいセンターへ出かけ、デイサービスを利用しているお年寄りの方々の前で、第一回の朗読活動を行ってきました。

緊張の面持ちの中、みんな大きな声と明るい表情で、すばらしい朗読を披露しました。合間をうめるトークも、事前にシナリオを準備し、うまく流していました。

お年寄りのみなさんからも、意見や質問がたくさん飛び出し、拍手や爆笑を誘い、楽しい出会いになりました。とくに感動したのは、この絵本を何名かのお年寄りが事前に読んで下さっていて、「とても立派な絵本だ」「これを書いた人たちに会えるのがとても嬉しい」と言って、ほめて下さったこと、心から喜んで下さったことでした。

ゼミ生たちも、この絵本制作が評価されたことを喜び、今後の活動にも自信をもったことでしょう。
この勢いで、来年2月にかけて、いくつかのところで、寄贈・朗読活動を行っていく予定です。
〈報告者:古典ゼミ指導担当 堀勝博〉