2016年05月06日

メロスってどんな人? 国文学概論


国文学概論では、前回に引き続き
太宰治「走れメロス」を取り上げて、
小説の読み方について考えます。
メロスってどんな人? 国文学概論


前回紹介したように、
メロスの性格を表した言葉を、
付箋に書き抜いて、
模造紙に貼りだしてみます。
メロスってどんな人? 国文学概論


「激怒した」「政治がわからぬ」
「羊と遊んで暮らしてきた」
「のんき」「内気な妹と二人暮しだ」
「老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた」

グループ分けしてみると、
大まかに2つの傾向があるように思えます。

(見方によっては、もっと細かくわけることもできます。
前回紹介したKJ法の目的のひとつは、
アイデアや項目をカテゴリーわけすることにあります。)

感情の激しさと、のんびりした性格ですね。


激しさとのんきさは、
両立しないようにも思われます。
メロスってどんな人? 国文学概論


しかし、ここで考えてみましょう。
「走れメロス」は、むしろ、
そういう矛盾を、物語を展開させる、
きっかけとしているのではないでしょうか。



のんきなメロスが怒らずにはいられない、
異常な出来事が街で起きている、
そういう風に見ることもできます。

また、メロスという人物を、
単純なキャラクターとして描くのではなく、
二面性を持った人物として、
読者に提示しているのかもしれません。


そのように考えてみると、
メロスを単純に良い人物か、
悪い人物かと、判断してしまうのは、
早計のようです。


「走れメロス」は、友情の物語として、
要約される場合がありますが、
こういう矛盾をもったメロスが、
走る物語でもあるわけです。
メロスってどんな人? 国文学概論


今回は、単純化しすぎずに、
小説を読んでみようという、
提案でした。

報告:長沼光彦



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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00 │Comments(0)授業紹介日本語日本文化領域

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