2017年01月26日

「インタビューライター実践編」の吉田智子先生に聞きました!

~仕事、特にインタビューを通しての知り合いが私の財産~

今回、人間文化学科の「発展演習」を「~インタビューライター実践編~」という内容で開講された吉田智子先生に、この授業を実施された理由などを聞きました。

 -インタビューに関する授業を開講された理由とは

 毎年、人間文化学科の少人数ゼミの「発展演習」を担当してきました。昨年度までは情報関係のテーマでやっていたのですが、わたし自身、一番興味があることというのが、人なんですね。今やっている研究も、一緒に活動している人々に魅力があって、楽しいからやっているような感じです。結局、わたしが今、一番、学生に伝えたいことを「発展演習」のテーマにしようと考えた時におもいついたのが、”魅力的な人を取材して、インタビュー記事を書く”という活動でした。後輩としての学生に伝えたい、自分が誇れることの一つが、

「取材をして文章にまとめて、それを読んでくれる人たちに、人の魅力を文字で伝えること」

だったのです。

 そこで、今年度の「発展演習」では、インタビューライター実践編というサブタイトルにしました。学生募集のときに使ったフレーズは、次の通りでした。

「今の時代はネット検索すれば普通の情報は得られるし、人と会話をすると自分が知りたいこだわりの情報っていうのは得られる。そこから一歩進んで、そのこだわり情報をネットに置くことで、たくさんの人に伝えられる。これは、記事を書く人にとっても楽しいし、読む人は、実際には会ってない人のことを詳しく知れる。

インタビュー記事をまとめる人、つまり書き手のこだわりを含んだ情報を読むことは、読み手にもきっと楽しいし、その話をした人もたくさんの人に自分の考えを知ってもらえるから楽しいし、インタビューをして記事を書く人も楽しい。これって、一石三鳥のすばらしい行為だと思いませんか?」

というのも、実はわたしは仕事で長い期間、インタビューライターをやっていました。その時のノウハウを学生に伝えることで、一石三鳥の楽しい活動を、学生にも味わってもらいたいなっていうふうに思ったのです。

 仕事でやっていたと話しましたけれども、具体的には、1995年から2005年まで「UNIX USER」っていう、ソフトバンクが出していた雑誌に、『よしだともこのルート訪問記』という連載を10年間、100回目までやりました。1999年には、その雑誌連載が単行本になるほどの人気連載でした。



 2000年からは母校ノートルダムの専任教員になっていたこともあり、2005年におしまいにさせてもらったのですが、30代という一番生産性の高い時代に、毎月、最先端にいらっしゃるコンピューター関係者を訪ねて記事を書くということができたおかげで、たくさんの知り合いができて、今もわたしの財産になっています。

 そういう、自分自身が誇れることを学生に伝える機会なんてそうそうあるものではないので、「発展演習」という人間文化の専任教員が担当できる枠を利用させてもらって、インタビューライター実践編というサブタイトルの授業をすることにしました。


 -今の研究や教育活動にもインタビューライターの経験は役立っていますか

 はい。いろんな意味で、インタビューライターの経験がなかったら今の研究も教育活動も成り立っていないな、というふうに思っています。

 まず、一般的に研究というのは一人ではできないもので、特にわたしは学内外の先生たちとチームを組んでやっているんですけれども、そのメンバーもインタビューライター時代に知り合った方々や記事を読んでくださっていた方が多いです。

 実は、教員として今のこの大学で教えるようになったきっかけも、インタビューライターをやっていたことに繋がっています。母校のゼミの先生を訪ねて、雑誌記事を書かせていただいたことで、母校に出入りするようになったからです。

 今、研究活動として具体的には「子どものプログラミング教育の環境づくり」をやっていて、ノートルダムでもその教材を紹介したり、ノートルダムの学生も巻き込んだりして、教材開発をしています。こういう研究活動のためにも、わたしはいろんな人にその人の活動内容をきいて、それで今はこういう教材が世の中では必要なんだな、っていうことを知ることが多いです。情報はインターネットとか本から得ることができるのですが、わたしの場合は人との会話の中から、自分の道とか、教材の種類とかを考えているっていうのが多いです。

 なので、学生の皆さんにも、そういう活動の楽しさを体験していただきたいなぁと。雑誌に毎月載せるっているようなチャンスはなかなか巡ってこないかもしれないんですけど、今ならネットを利用して発信できますからね。

 インタビュー記事を書かないにしても、相手の話をしっかり聞いて、それを自分の仕事や生き方に役立てるっていうようなことは、どんな仕事に就いてもやって欲しいっていうふうに思っています。どんなにWebから情報が安易に得られる時代になったとしても、人との会話から得られる情報と、そこから発展する世界を大切にしてほしいと思っています。

 仕事に就く前には、大学で卒業研究(卒業論文、卒業制作)っていうのをやることになるわけですが、その卒業研究のときも、ゼミの先生はもちろん、ゼミの先生以外の先生にも聞きにいったりとか、外部の人に自分の研究内容を話して意見をもらうとか、そういういろんな人の意見を聞いて研究や活動を進めるっていうのは、積極的にやって欲しいなっていうふうに思っています。


インタビューにご協力いただいた方:
 吉田智子教授 http://www.notredame.ac.jp/~tyoshida/
 京都ノートルダム女子大学文学部卒業。入社した会社のUNIX開発部門に所属していた時代に、UNIXの社内普及のため、UNIX関連の記事の執筆や、編集や企画などの活動を開始。フリーのテクニカルライターとしての活動後、母校の教員に。

上述の雑誌記事はイラストレーター大山正弥氏のイラストが人気だった
2001年2月号のルート訪問記の記事のイラストより)



【インタビューを担当したのは、この授業の受講生 N.O. でした。】  » 続きを読む

Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00Comments(0)授業紹介アクティブラーニング教員・学生インタビュー