2021年02月18日

2020年度人間文化専攻構想発表と研究成果発表のご報告

2020年度人間文化専攻構想発表、研究成果発表会北山のキャンパスに梅の花が春を告げるほのかな香りを漂わせています。まだ少し肌寒いと感じていた2月10日の午前中に人間文化専攻の構想発表と研究成果発表が行われました。








 遠藤さんの発表(1)
先ずは修士課程1年生の2名の学生がそれぞれ修士論文の構想について発表されました。遠藤博文さんは「説経節の受容と衰退―「さんせう大夫」の悲劇性を中心に」をテーマに発表しました。説経節とは中世末から近世に行われた語り物で、仏教の説経に起源があると言われています。「山椒大夫」といえば、すぐに森鷗外の名著を想起しますが、実はこの物語は説経節を元に書かれています。遠藤さんは修士論文の構想について、

遠藤さんの発表(2)「さんせう大夫」の四種の説経節の異本を研究資料にし、節譜、演劇性とストーリーの展開を比較し、同時に、アリストテレースの悲劇に関する理論(悲劇の六つの構成要素:筋、性格、語法、思想、視覚的装飾、歌曲)を用いて、「さんせう大夫」の悲劇性、さらに説経節の受容と衰退を考察していくと熱く語っていました。1年の研究を通して、かなりの研究資料収集と論文の構想ができていると感じました。特に西洋理論を用いて日本の伝統芸能を分析するのはユニークな発想で、修士論文の完成を期待しています。
開田さんの発表(1)
 開田絢子さんは「高等女学校における漢文教育に関する研究」で構想発表をしました。現段階では、明治時代に発足した女子教育のカリキュラムに漢文科目を設置した目的とその影響を中心に、文部省が発令した高等女学校令などの基本資料を収集しています。今後、さらなる文献調査と現地調査(主に、京都府立第一高等女学校が前身である京都府鴨沂高等学校)を行い、修士論文を展開していく計画です。

開田さんの発表(2)
女子教育に着眼しているのはとても重要なポイントです。今世間を騒がせている日本社会における女性の地位問題の歴史的な要因になにか一石を投じることが出来るのではないかと思います。






 小林さんの発表(1)
引き続き研究成果発表が行われました。3月に修士課程を修了予定の小林愛美さんは修士論文の研究テーマ「強調表現としての「しかない」についての分析~“感謝しかない”という言い回しの違和感から~」について発表しました。日頃のちょっとした言葉の違和感から調査、研究に広げていくのはまさしく研究の原点です。「感謝しかない」という聞き流しがちの言葉に焦点をあて、新聞などの記事、スポーツ選手らの発言のデータを収集し、従来の「しか」の限定の言語的役割を徹底的に分析し、
小林さんの発表(2)「「感謝しかない」は他の感情を遙かに凌ぐほど強い感謝の感情がある。……この場合の「しか」は「取り上げた要素(感謝)が他と比べて圧倒的に大きい(多い/強い)」と従来の「しか」に見られない新しい強調の言語的な役割を見いだしました。小林さんの研究発表を聞きながら、言葉一つの成立に言語環境、話者の背景、品詞の役割などいくつかの要因が潜んでいて、言語研究の奥深さと研究のやり甲斐を改めて思いました。小林さんは4月から国語教員として教育現場に立つことになると聞きました。本大学院での研究成果が彼女のこれからの教育人生の礎になることを願っています。
 一年の計は春にあります。今回発表した3名の大学院生にとっては、それぞれの新しいスタートとなまります。来年の春には人間文化専攻にきっとさらなる研究成果が生まれると信じています。

 文責:朱鳳


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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 10:04 │Comments(0)学生の活動報告大学院

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