2013年08月10日

20年前のコンピュータで最新のOSを動かす意味とは?

 再び、吉田智子です。

 ここのところ、何度もブログで報告しているのですが、
一週間前の8月2日(金)・3日(土)に、京都で実施された
オープンソースカンファレンスに、学生といっしょに
参加していました。

 学生といっしょに展示ブースを見学していた時に、
20年ほど前のコンピュータの上に、最新のOS
(NetBSDという、UNIX系のOS)を載せて、
デモをされているブースがありました。

 非力なマシンで最新のOSを動かすためには、
大変な努力と工夫が必要です。その展示を実現させた方は、
その努力と工夫を楽しんでおられたというわけです。

20年前のコンピュータで最新のOSを動かす意味とは?
写真10:1989年発売のLUNAと1991年発売のLUNA-IIの夢の共演
 ~ 左のLUNAでsixel自演プレゼン、
     右のLUNA-IIでTwitter on NetBSD/luna68k 実演中~
     (2013年8月、京都でのオープンソースカンファレンスにて)   


20年前のコンピュータで最新のOSを動かす意味とは?
写真11:LUNA-II の本体前面パネルの液晶部分。LUNA は愛称で型番はSX-9100。
     DTはデスクトップ型の意味 


 これを見た学生が、「新しい方のコンピュータの発売時期の1991年でも、
私が産まれる前です!」と言っていました。22年も前なんですね...。
 
 私にとっては「青春の思い出」とも言える、そのコンピュータに
まつわる話を、以下にまとめましたので、ちょっとマニアックな
話にはなりますが、書かせて下さいませ。


●2013年8月2日、3日のオープンソースカンファレンスの
「日本NetBSD ユーザーグループ (http://www.jp.netbsd.org/ja/JP/)」
 のブースに関しての報告

 今年も「日本NetBSD ユーザーグループ」は、ご当地展示として、
LUNAを展示されました。LUNAというのは、1980年代から1990年代の初めごろ
にかけて、京都に本社を持つオムロン株式会社が発売していた、UNIXワークステーション
の名前です(その当時、私はこの会社のUNIXワークステーション開発部門で働いていました)。

 LUNAは「月」を意味するということで、当時、主流だったSunという名前の
UNIXワークステーションの「太陽」に対抗して、命名されたのでした
(って、今さらそんなこと知っても、ておくれ?)。

 時は流れて、あれから20年。もうLUNAとの青春の日々など思い出すことも
なくなっていた2011年のOSC京都のNetBSDブースで、私は「動くLUNA」と
まさかの再会をしたのでした。以来、今回で3年目の展示となりました。
 
 事前にアナウンスされた宣伝文句は、次の通り。

 「OSC京都 NetBSDブースでは今年も懲りずに NetBSD/luna68k が動く
  Omron LUNA と LUNA-II を展示します。」

  「OSC Kyoto。そしてLUNAだ!圧倒的存在感。LUNA-II(大容量64MB RAM)
 との共演。 LCDでの投影とバックパネルの工作。mlterm-fbによる1bpp
 グラフィック。デーモンモードのmikutter。」

 (mltermとは、ターミナルで多言語表示できる端末エミュレータで、
  フレームバッファ版のmltermが、mlterm-fb です。非力なマシン
  では、マルチウィンドウを開くわけにいかないので、ターミナルで日本語
  を扱うためにこれを使われたのだと思います。)

 で、今回展示された2つのマシン(LUNA と LUNA-II)のスペックは次の通りです。

 ①LUNA 1989年発売、CPU モトローラ M68030 20MHz 、
  RAM:4MB~(最大16MB)、Video 1280×1024 モノクロ or 16色

 ②LUNA-II 1991年発売、CPU MC68040 25MHz、
  RAM:8MB~(最大64MB)、Video 1280×1024 モノクロ or 16色


 20年以上前のこんな老齢マシンに、今年リリースのNetBSD 6.1をインストールして、
mlterm-fbの日本語コンソールを使ったTwitterのデモがされていたのですから、
見る人が見れば(要するにオジサン・オバサンは)、感動して涙しても不思議では
ありません。

 「NetBSD/luna68kは mlterm-fbで Twitterの夢を見るか」と題する、
この展示を主催された方によるセミナーのスライドの「まとめ」には、
次のようなことが書かれていました。

  ”LUNAでもTwitter 可能。遅マシン開発の意義とは、目視で
  どこが重いのかがわかること。速いマシンだと、効率のよくない実装
  に気がつかないことがある。”

これが、老齢のLUNAの存在価値だということですね。なるほど。

 さらにそのスライドには、”詳細はわからなくてもレポートが大事。
動作している動画も効果大。”とも書いてありました。たしかに、
開発者の筒井さんが、「今、開発はどこまで進んでいるか」について、
Twitterなどを利用して、仲間に報告し続けて下さっていたからこそ、
当日、きちんと動く様子に私たちが感動したわけです。

 この「常に報告!」という社会人としては常識とも
言える姿勢が、今回のオープンソースカンファレンス参加のような
活動を通じて、大学生にも伝わるといいなぁと強く思いました。

 以下が、このブログをまとめるために使った参考資料です。

・オープンソースカンファレンス2013関西@京都 NetBSDブース展示記録  
 (http://togetter.com/li/542885?

・「NetBSD/luna68kは mlterm-fbで Twitterの夢を見るか」
 OSC京都 NetBSDセミナー での発表資料
http://www.ceres.dti.ne.jp/tsutsui/osc2013kyoto/NetBSD-luna68k_mlterm-fb_Twitter.html

・オープンソースカンファレンス京都NetBSD の薄い本
http://www.soum.co.jp/~jun/OSC2013kyoto.pdf

報告 吉田智子





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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 15:26 │Comments(0)情報関連の資格や活動

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