Zoomを利用した国際オンラインミーティング
今年度から、私はとある国際比較研究調査に専門家委員として参加しています。この調査は日本、中国、韓国の3か国の教育制度と教育改革の動向を探ることを目的としており、日中韓の研究者・専門家総勢20人余りが参加するかなり大規模なものです。私は調査報告書の取りまとめ役を仰せつかっている関係で、11月から12月にかけて報告書執筆に向けた国際オンラインミーティングに参加しました。
ミーティングは計8回おこないましたが、コロナ禍の中ということと、調査に参加した研究者・専門家が3か国(しかもそれぞれの国内でさらに各地域に)に散らばっているため、すべてZoomを利用して実施しました。日本、中国、韓国の各地をリアルタイムでつなぎ、3か国語が飛び交う中、通訳を交えつつ執筆内容について専門的な議論をやりとりしていくという体験はとても新鮮なものでした。「〇〇月△△日□□時(中国時間☆☆時)からZoomミーティングをおこなうので下記URLにアクセスしてください」とメールでアナウンスするだけで国境を超えてメンバーが一堂に会せるという状況は、1年ほど前には想像もできなかったことです。コロナ禍のため気軽に海外に行けなくなってしまいましたが、国際的な研究交流という点ではコロナ禍以前よりもぐっとハードルが低くなったように感じます。
ちなみに私の専門は比較教育学といって海外でのフィールドワークが必須の分野なのですが、これからは調査の仕方も少し変わっていくのではないかと思います。単に必要な情報をやりとりするだけなら、わざわざ現地に赴かなくてもよくなったからです。こうした状況において、その国・地域の空気を吸って、直に現地の人々と接することで得られる、論文には直接反映できない「肌感覚」のようなものを自分の研究の中でどう位置付けていくのか。私たち海外をフィールドとする研究者は、ポスト・コロナに向けてそうしたことを問われていくような気がしています。
上の写真は、まだコロナ禍が始まる前、韓国のとある学校を訪問した際に壁に貼ってあった子どもたちの作品です。
報告者: 国際日本文化学科 教員 石川裕之
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