16世紀スペインのグレゴリオ聖歌集がやってきた!

京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)

2015年09月20日 23:01

みなさん、グレゴリオ聖歌ってご存知ですか?

カトリック教会の典礼聖歌として、中世以来歌い続けられている代表的な聖歌のことです。教皇グレゴリオ1世(604年没)の名前にちなんでこのように呼ばれていますが、9世紀頃に集大成されたと言われ、1000年以上の歴史があります。グレゴリオ聖歌は西洋音楽の源と言われているんですよ☆

16世紀のスペインで制作され、かの地の修道院で用いられていたであろうグレゴリオ聖歌集がこのたび大学に導入されました。これは平成26年度私立大学等研究設備整備費等補助金採択資料として購入されたものです。



重厚な造りですね。このように保存状態が極めて良いオリジナル資料は日本では大変希少です。大きさは縦50cm横36cm厚さ10cmあり、羊皮紙(ヴェラム)で作られています。表紙をめくるとDomical Antiphonario(日曜・祝祭日用のアンティフォナ集)と書かれています。





アンティフォナとは詩篇唱の前後に歌われる短い歌のことをいい、この聖歌集は修道院において聖務日課(勤行のようなもの)のために使われていました。昔は今のように印刷技術が発達していませんでしたから1人1冊はなく、このような大きな聖歌集を何人もの修道士たちが見ながら歌っていたのです。想像してみると興味深いですね☆

中を見てみましょう。




普段私たちが見慣れている楽譜とはだいぶ違っていますね。ずいぶんとカラフルですし、線は赤色でト音記号や音符もありません。

もう少し詳しく見ていくと・・・



音符の代わりに四角い形のものが見えますが、これは音符ではなくネウマといいグレゴリオ聖歌独特の記譜法です。

ネウマの下には歌詞が書かれています。

グレゴリオ聖歌の歌詞はほとんどがラテン語で書かれていて、歌詞の初めのアルファベットは大きく書かれ、さまざまに彩色されていますね。視覚的にもとても美しいです。




このようなオリジナル資料は当時の彩色写本の技術に実際にも触れることができますし、音楽だけに留まらず、今後多方面での研究に寄与するものとして期待されています。通常は図書館で保管されていますが、時々展示されますので、みなさんどうぞ楽しみにしていてください。

(報告:久野将健)

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