図書館サービス特論 授業報告

京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)

2017年10月04日 13:23

9月13日~9月15日に図書館サービス特論の集中講義が、襟川茂先生のもとで行われました。襟川先生は以前20年以上京都ライトハウスにお勤めになり、視覚障害者の方へのサービスを主になさっていました。

 9月13日の初日は、午前はオリエンテーションの後、視覚障害者・聴覚障害者のための制度や法律について学び、午後は京都ライトハウスを見学させていただきました。館内の見学では、ご自身も全盲の豊田さんという職員の方に案内していただきました。
「京都ライトハウスは視覚障害者の方への支援施設ではあるけれども、活動の拠点でもある」と豊田さんはおっしゃっていました。できる範囲での仕事の支援や、生活していくための支援、親子で生活の指導を受けられる事業所がありました。
私が司書課程の勉強をするうえで一番興味があったのは、情報ステーションです。京都ライトハウスの図書室ともいえる施設です。様々な点字の図書がありました。目を引いたのは、活字ならば1冊の辞書が、点訳をすると100冊以上になることでした。点字は続けて打つと読みづらくなるし、あまり小さくても指先で読めないから適当な大きさと間隔を空けないといけないから、そうなってしまうのです。その他にも点字の絵本-市販の絵本に透明の点字のシートが貼ってあるもの(初期のころのもの)やさわる点字絵本-などもありました。
ボランティアさんに本(持ち込み可)や郵便物などを代読、代筆をしてもらえるサービスがあり、情報ステーション内の個室でサービスを受けられます。

9月14日は主に点字を打つことについて学びました。「T・エディタ」というソフトは無料でダウンロードができ、wordソフトのように点字を書くことができます。点字は下のように2列3行の構成で、番号がついています。
  ①④
  ②⑤
  ③⑥
キーボードで打ち込むのは、①→F ②→D ③→S ④→J ⑤→K ⑥→Lという決まりがあります。
       
やり方は頭でわかっていても、同時に打つことなどとてもむずかしく、時間をかけて練習しましたが、なかなか長い文章はつくれませんでした。京都ライトハウスの点訳ボランティアさんにも、キーボードに番号のシールを貼っていらっしゃる方がいるそうです。




その他、対話の手段として、「T・エディタ」のキーボードで打つ動作を、お互いの手(指)に対してする「指点字」があるそうです。これは両手の人差し指、中指、薬指に同じ要領で触れる(たたく)やり方です。





9月15日の最終日は、視覚障害者の手引きを生徒同士で実践し体験しました。細い道で手引きをするのは難しいですが、一番大事なのが声かけです。「ここで右に曲がります」など、タイミングなど考えてやらなければいけませんでした。階段の手引きでは、できれば手すりをもたせてあげるのがよいし、段と踊り場も声かけでおしえてあげないといけなくて、難しいです。椅子に座らせてあげる時は、椅子の背もたれをさわらせるとよいそうです。
最難関はお手洗いへの手引きでした。男性(異性)のかたへの手引きは今回はやらなかったのですが、女性の手引きでも細かい説明は難しいです。構造なども説明したらよいということで、器具をさわらせて説明しました。男性への手引きでも、視覚障害の方は説明したら来たところをそのまま帰って来ることができるそうです。
どの手引きでも、目をつむって手引きされる役より(いつも使っている校舎だからかもしれないけど)、手引きする役のほうが怖さを感じました。襟川先生曰く、視覚障害者の方は手引きされるほうも慣れている方も多いからそんなにびくびくしなくても大丈夫とのことです。

おわりに、この集中講義は5限×3日(半期15コマ分を3日)でとてもハードスケジュールだったので、3日目にはみな疲れが見えていたし、図書館には直接関係ないことも勉強しているように思うときもありましたが、図書館に携わる仕事をするために勉強をするにあたって、利用者はみな平等であるという図書館の公平利用の理念のもとでサービスを実現するためには、様々な勉強が必要なのだと思いました。

報告:人間文化学科2年次生 MY

関連記事