夏目漱石「三四郎」を読む
人間文化学科専門科目「日本近代文学講読」では、
夏目漱石「三四郎」を読んでいます。
明治時代の社会や生活習慣を背景としているので、
学生の皆さんには、
なかなか実感しにくいところがあるようです。
また、学生にも想像しやすい、
現代に通じるようなモチーフも出てきます。
三四郎は学生で、社会的な責任をまだ負わない、
という点では自由です。
三四郎は、世の中に出ることを考えると、
少しうんざりしたりします。
一方で、好きな女性と恋愛を成就させるためには、
結婚することになる。
そのためには、一人前の社会人になり、
お金を稼がなければならない。
にもかかわらず、三四郎は、
好きな女性、美禰子からお金を借りることになります。
学生の皆さんに、恋愛を成就するには金が重要か、
と問うと、そうではないという答えはあります。
また、生活を維持するには、
お金は大切だという返事もあります。
小説「三四郎」は、恋愛が成立するための条件を、
読者に問いかけてきます。
そういう問いを読み取るのが、
小説を読む楽しみです。
報告:長沼光彦
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