文学と出会う・つかまれる

京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)

2015年05月15日 23:15

今週火曜日の国文学概論では、
文学と出会うという話をしました。


竹田青嗣『哲学ってなんだ』(岩波書店)の、
文章を取り上げました。
竹田氏は、若い頃、文学や哲学に出会うことで、
自分を理解するきっかけを得たという話です。

私たちは、自分のことはわかっているようで、
よく理解していない。

そのときに、自分がなぜか惹きつけられるものについて、
よく考えてみると、
そこに自分に近しいものが含まれていることがわかる。
その近しいものが、自己理解のヒントとなる、
というのです。



少し話は変わりますが、
今週月曜日の夜に、朝日テレビで、
お坊さんバラエティ「ぶっちゃけ寺」という番組がありました。
お坊さんを出演者として迎え、
仏教やお寺を身近に感じてもらう、
番組です。

今回は、キリスト教の神父さんや牧師さんが、
ゲストとして呼ばれ、
互いの信仰について話し合う、
興味深い内容でした。

番組に出演したシスターが、
「神様につかまれる」という、
エピソードを紹介しました。

信仰は、こちらから近づくというよりも、
ふと神様につかまれて、
信仰の道に導かれる感覚だというのです。



授業でこの話も紹介したのですが、
「出会う」にしろ「つかまれる」にしろ、
自分にとって大切なものは、
外からやってくる、という感覚は、
心にとめておきたいと思いました。

自分だけで何でもできる、
と思っていると、
こういう感覚は味わえないですね。
心を外に向けていなければ、
出会いもありません。

小説やドラマを読みたいと思うのも、
そういう出会いを求めているのでは、
ないでしょうか。
そんなふうに話をまとめてみました。





報告:長沼光彦

関連記事