2016年05月23日

メロスは対立する 国文学概論


国文学概論は、
太宰治「走れメロス」を読んでいます
メロスは対立する 国文学概論


物語の進展する要素のひとつに、
登場人物の対立があります。


「走れメロス」では、
主人公メロスと、王が対立します。

冒頭のナレーションでは、
王が悪、メロスが悪を許せない男、
という位置づけのように、
読むことができます。
メロスは対立する 国文学概論


しかし、メロスと王が向き合う場面では、
王は「静かに、けれども威厳をもって問い詰め」る人物、
として登場します。

また、「顔は蒼白で、眉間のしわは、
刻み込まれたように深かった」とされます。
人への疑いが、心労となっていることが、
示唆されています。
メロスは対立する 国文学概論


一方のメロスは、買い物を背負ったまま王城に入っていく、
「単純な男」です。

ここでは、単純な男と、
考えすぎる男という、対立が見えてきます。

ここまで読むと、「走れメロス」の物語は、
正義と悪という構図に、
おさまりきらないことがわかります。

小説は、このように多角的に価値観を提示して、
人間の多様性を表現します。
メロスは対立する 国文学概論

報告:長沼光彦



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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00 │Comments(0)授業紹介日本語日本文化領域

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