2018年08月10日

科目紹介 「キリスト教美術」

大学もついに夏期休暇に入りました。試験やレポートを乗り越えた学生さんたちが充実した時間を過ごすことを願いながら、教員も一息つきたいところです。

さて、今日は学科教員が担当している科目のひとつ「キリスト教美術」をご紹介したいと思います。せっかくカトリックの大学で学ぶからには、教会や展覧会で宗教画を見た時に少しでも自力で主題がわかるようになりたいものです。

科目の目標は「4世紀以降、長い時間をかけて成立したキリスト教美術には、繰り返し描かれ続けてきた主題と表現上の約束事がある。さまざまな地域・時代に制作された作品を通して、未知の作品に出会ったときにも、ある程度主題を推測できる力を養うことを目指す」です!
しかし、必ずしも美術になじんだ受講生ばかりではないので、たくさん作品を見ることを楽しみながら、基本的な知識を得ることを目標にしています。旧約聖書・新約聖書・様々な聖人のエピソードから、代表的なものを解説していきます。

主題によっては、聖書には必ずしも記述がないけれども、派生的に発展したものがあります。たとえば「エジプト逃避途上の休息」は、福音書に語られる「エジプト逃避」(聖母マリア、幼子イエス、聖ヨセフは、ヘロデ王から逃れてエジプトに行き、ヘロデが死ぬまでそこにとどまった)から生まれた主題です。長旅の途中で、荷物をおろしてくつろぐ聖母子の姿が中心になりますが、美しい風景を描く良い機会でもあるので、画家たちに好まれました。
写真はパティニールという人の作品(1519-24年)です。緑・青の色が美しい広大な風景をじっくり鑑賞したいところです。




「エジプト逃避途上の休息」は一度知るとあまり間違えない主題だと思いますが、少しぼんやりしていると間違えることもあります。たとえば食事の場面には特に重要なものがいくつかありますが、次の二つの作品を観察してみてください。





最初の作品は、《最後の晩餐》。イエス・キリストが弟子とともにとった最後の食事ですが、これは「最初のミサ」でもありますし、「この中に私を裏切る人がいる」と衝撃の発言に弟子たちが動揺する劇的な場面でもあります。イエスを囲む12人の弟子たちの反応が見どころになります。有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの作品(1495-98年)。

二番目の作品は、《カナの婚礼》。婚礼に招かれたイエス・キリストが、ワインがなくなってしまったときに、水をワインに変えたという奇跡の場面です。ポイントは、水を入れられた大きな甕が描かれていること。描いたのはジョットで1304-1305年の作品です。

期末試験では、講義では見なかった作品の画像を渡して、主題をあてるという問題も出しました。今回は《カナの婚礼》も出ましたが…受講生の皆さんは、わかったかな? 

(科目担当: 吉田朋子)  

Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 18:17Comments(0)授業紹介カトリック教育国際文化領域(芸術と思想)オープンキャンパス・AO入試