2018年04月21日

「日本語教育実習Ⅲ」成果報告会を実施しました2



「日本語教育実習Ⅲ」成果報告  人間文化学科4年次生 小林愛美さん



私はこの度の実習について、おおよそ以下のような目的を見出し、成果を出せるよう尽力しました。





⑴自身の教員能力、日本語教育スキルを確かめる。
・これまで培ってきた指導技術、知識を実際の教育現場で活用できるか
・教育者として社会に立つスキル、適性が自身にあるか
・日本語学習者に対し、教育者という立場から正しくアプローチできるか
・日本語の誤用や表現のミスに対して機敏に反応し、疑問を持つことができるか

⑵香港における日本語教育の実態と学習者の需要を把握し、体験する。
・学習がどのような環境で、どのように行われているのか
・どのような人に必要とされ、どのような理由で学ばれているのか
・非母語話者が感じる日本語の難易点、疑問を理解し、寄り添うことができるか
・現在実施されている教育に優れた点が見られるか、そして不十分な要素があるか→改善できるか

⑶日本語学習者、実習関係者との交流を通じて異文化・特色を理解する。
・学習者との積極的な交流に臨めるか
・異国の地において日常生活、コミュニケーションを円滑に行うことができるか
(・非母語話者にとって、オノマトペ語彙を感覚的に理解することは難しいのか)
(・語彙理解にコミュニティ固有の共通認識(日本独特の価値観)が必要な時、どう教育すべきか)

⑶については、香港で関わってくださった全ての皆さんのお心遣いとご協力によって、満足した体験が得られました。生徒の皆さんはもちろん、教職員をはじめ地域の皆さんも、私たちを心から歓迎してくださいました。私自身海外での生活は初めての試みで、多くの不安を抱きながらの渡航となりましたが、それらが杞憂であったことはすぐに実感できました。かけがえのない出会いを得た日々となりました。
また、(  )で囲んだ下2項目は、自分自身の卒業研究の参考のためにぜひ話を伺えればと思い設定しました。非母語話者である日本語学習者が、日本語に対しどのような印象をもって、理解しているのか。日本語教員の実習生という立場から、そして日本語研究を専攻とする学生という立場から、学習者にアプローチすることを目指しました。





私が今回実施した単元は、初級1(日本語初心者向け)「あいさつ、自己紹介」と上級2(日本語上級者向け)「痛覚のオノマトペ」の2コマです。全8コマの模擬授業のうち、一番最初と一番最後のコマを担当する形となりました。そのため想定すべき学習者のレベルも授業によって大幅に違い、それぞれに必要となる対応も異なることが予想されました。
日本を発つ前に全ての授業計画を完成させることを前提に準備を進めていたこともあり、事前準備は順調に事が運びました。初級1と上級2、それぞれ以下のような項目に注意するよう意識しました。

初級1
・イラストやジェスチャーなど、視覚情報を多く提供すること
・説明的なコメント、指導にならないように、簡単な辞書形動詞を用いること
・学習者との交流に活動の中心があるように、会話練習や発問を多く取り入れること
・ネームプレートの作成やお菓子のプレゼントなど、レクリエーションのような楽しさを取り入れ、授業の盛り上がりを意識すること
・学習者の名前をなるべく把握し、発問の際には名指しで指名すること

上級2
・アニメーション、小道具などを効果的に用いて学習者が集中を持続できるようにすること
・用法と用例を多く用いながら、類似する語彙との相違を説明すること
・用いられる文がごく自然であり、日本語母語話者が日常生活で頻繁に使用する表現であること
・痛覚などの説明には実体験のエピソードを用いて具体性を出すこと
・学習者の名前と習得レベルをなるべく把握し、発問の際には名指しで指名すること


初級1の模擬授業は、英語やイラストも使いながら、何度も反復練習を行いました。





実際に当日参加してくれた生徒の日本語レベルは全員中級以上に達しており、本授業の内容は全員が容易に理解できる状況でした。授業態度も積極的で、教員からの発問のレスポンスもスムーズに行われました。そのため、私が想定していた時間配分より遥かに早いスピードで、準備していた課程が終了してしまいました。時間が余るという事態を想定して、応用練習を複数種類用意しておくべきでした。また、日本での事前準備で念入りに時間配分を確認していなかった事も大きなミスだと言えます。多くの反省と課題点を残し、1回目の模擬授業は終わりました。   
                                            〈次号に続く〉



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00Comments(0)日本語教育授業紹介日本語日本文化領域国際交流