葵祭 前儀

京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)

2015年05月16日 17:51

昨日5月15日に、葵祭の行列が、
京都市中を巡行しました。


葵祭というと、
この行列をまず思い浮かべると思いますが、
先の連休中に前儀(まえぎ)として、
いくつかの行事が行われています。

ここで、そのひとつ、5月3日に下鴨神社で行われた、
流鏑馬神事(やぶさめしんじ)を紹介します。
写真は、日本文化ゼミの留学生ジョイさんが、
撮影したものです。
日本文化を研究するため、
現地に神事を観に行ったのです。



『山城国風土記』(やましろのくにふどき)逸文に、
賀茂祭(葵祭の本来の名)の起源として、
猪の頭を被って馬を駆けさせた儀式が、
伝えられています。
(*『山城国風土記』は、東洋文庫『風土記』などで読むことができます)



また『続日本紀』(しょくにほんぎ)の、
文武天皇2年3月辛巳 (698年)の記事に、
山背国(やましろのくに*現在の京都)の、
賀茂祭の日に人々が集まって騎射をすることを禁ずる、
という記載があります。
(*『続日本紀』は、岩波新古典文学大系や、講談社学術文庫で、
読むことができます)
京都に平安京が成る以前から、
賀茂祭が行われ、騎射(流鏑馬神事の原型)が行われていた、
ことがわかります。


上の写真2枚は、糺の森(ただすのもり)に設けられた、
流鏑馬の馬場へと、騎乗して歩を進める、
公家装束をまとった射手です。

下は、準備の様子を撮ったものです。




射抜いた的は、縁起物として頒布していただけるようです。
下は当たった的に、日付と、鴨社流鏑馬神事と墨書しているところです。



続いて流鏑馬の様子。iPhoneで撮影したそうですが、
迫力のある写真です。




また当日は、少年らの剣道の催しも行われていたそうです。



報告:長沼光彦
写真:ジョイ







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