2017年05月26日

原作と比較する 走れメロス 国文学概論

国文学概論では、
「走れメロス」を読みながら、
小説の構成について、
考えています。



太宰治が「走れメロス」を書くにあたり、
参考にしたと思われる、
詩があります。

シラーの「人質」という作品です。

(このことについて、
すでに種々の論文があります。
山内祥史編『太宰治『走れメロス』作品論集』
クレス出版、2001年
に掲載されている論文を、参照していただくと、
良いでしょう。
インターネット上で公開されている、
論文もあります。)


「人質」と比較してみると、
太宰治が書き足している部分が、
ずいぶん多いことがわかります。

村で妹の結婚式をあげる場面は、
すべて書き足しです。

メロスが村の牧人であることや、
邪悪に敏感というキャラクターの設定も、
書き足している要素です。



この書き足しの部分を、
改めて見てみると、
単純な話と思われた、
「走れメロス」も、
複雑な味わいがあることが、
わかります。

また、
太宰治の他の作品と比べてみると、
その付け足しの部分に、
太宰治の作家としての、
共通点を見いだせるようにも、
思います。


いずれにせよ、
この書き足しの部分に、
当時の(あるいは太宰の)「小説らしさ」が、
表現されているでしょう。

近代以前の物語とは、
異なる要素を、
小説らしさは、
必要とするのです。

言い換えると、
付け足しの部分にこそ、
当時の人たちが、
読んで面白い、
と思われる要素が、
含まれている、
ということですね。


報告:長沼光彦




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Posted by 京都ノートルダム女子大学      人間文化学科  at 18:14 │Comments(0)授業紹介日本語日本文化領域

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