2017年02月09日

多言語学習環境を研究しています

英語による中国語教授法見学所感

朱鳳   



 2015年に、本学の英語英文学科のYork Weatherford先生、小山哲春先生と一緒に「新しい多言語学習環境の構築—英語による中国語学習、中国語による英語学習」という課題で科学研究費助成金を受けることになった。本研究は アジア諸大学多言語学習環境を考察し、日本における英語による中国語学習、中国語による英語学習可能性を検討することを目的とするものである。
その研究の一環として、2016年11月4日香港城市大学の中国語授業を見学した。この大学の全ての授業は英語で行われるため、中国語も英語で教授されている。今回は萬嵐先生の中国語初級クラス(練習と宿題を中心)を見学させていただいた。全クラス40名程度の学生がいるが、すべてヨーロッパ、日本、韓国、その他アジア、ヨーロッパ非英語圏の学生である。つまり英語と中国語は両方とも非母語である。3ヶ月の交換留学生が多いため、皆モチベーションが高い。週に5コマ、或いは3時間の授業を受けるのが一般的である。また、皆会話に興味があるのが大きな特徴である。
 90分の授業はすべてピンインの練習、宿題の答え合わせに費やしていたが、単調に感じさせなかった。その理由は、次の数点にあるのではないかと考えられる。
 1.最初から本日の授業のスケジュールと目標を言う。目標を可視化することによって、学生に学習到達点にたどりつける安心感と自信を与える。
 2.パワーポイントで練習問題を掲示する。いきなり当てるのではなく、担当を指定し、学生に少し議論と準備時間を与える。アクティブラーニング的な教授法を導入している。
 3.教員が使用している英語は決して難しい単語ではない。さらに、重要なポイントはすべてパワーポイントで表示している。例え、英語が得意でない学生でも視覚と聴覚の両方から教員の教えを理解することができる。
 授業終了後、教員数人で英語による中国語の授業についての意見交換も行った。日本と違って、香港という特殊な土地で、学生たちが中国語学習のモチベーションが高いのではないかと私からの質問に対して、「確かにその一面があるが、英語が母語でない学生にとって、英語で中国語を学習することで、英語の学習にも有益である」と萬嵐先生が答えた。つまり、多言語環境とモチベーションも大事だが、もっと大事なのは言語学習関連性と効果を学生に目に見える形で感じさせることである。
 本学の中国語、英語学習学生のモチベーションは香港の学生と比較すると、まだまだ低いものである。これから、香港城市大学の授業に倣い、簡単英語で中国語の授業を数回実施して、その学習効果を研究していきたい。

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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00 │Comments(0)国際文化領域(多文化理解)教員の研究活動

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