2016年11月23日

勤労感謝の日とお会式

本日、11月23日は、
勤労感謝の日です。

少し歩いてみると、
お会式を行う寺がありました。
勤労感謝の日とお会式


お会式は、法会(ほうえ)の儀式のことですが、
特に、日蓮宗の宗祖(日蓮ですね)の、
忌日に行われる法会のことを言います。

日蓮宗のお寺さんで行われる法会ですね。

お寺さんによって、
10月13日の忌日を新暦で行う場合もあり、
旧暦の10月13日を、新暦に換算して、
11月に行う場合もあります。

また、23日に行うお寺さんもあるように、
信徒さんのために、
休日に行うなど、
営まれる日は、幅広いようです。

江戸時代より、秋の風物詩と見なされ、
俳句の季語にもなっています。
勤労感謝の日とお会式


中原中也に、
「お会式の夜」という詩があります。


     お会式の夜

 十月の十二日、池上の本門寺、
 東京はその夜、電車の終夜運転、
 来る年も、来る年も、私はその夜を歩きとおす、
 太鼓の音の、絶えないその夜を。

 来る年にも、来る年にも、その夜はえてして風が吹く。
 吐く息は、一年の、その夜頃から白くなる。
 遠くや近くで、太鼓の音は鳴っていて、
 頭上に、月は、あらわれている。

 その時だ 僕がなんといふことはなく
 落漠たる自分の過去をおもひみるのは
 まとめてみようといふのではなく、
 吹く風と、月の光に仄かな自分を思んみるのは。

      思えば僕も年をとった。
      辛いことであった。
      それだけのことであった。
      ――夜が明けたら家に帰って寝るまでのこと。

 十月の十二日、池上の本門寺、
  東京はその夜、電車の終夜運転、
  来る年も、来る年も、私はその夜を歩きとおす、
 太鼓の音の、絶えないその夜。

                   (一九三二・一〇・一五)

池上本門寺は、日蓮聖人が、
弘安5年(1282年)、10月13日辰の刻(午前8時頃)、
61歳で入滅したとされる地に建てられた寺です。
場所は、東京の大田区です。

電車の終夜運転と書かれているとおり、
お会式は、多くの人が訪れます。


太鼓の音と、人混みの賑やかさとは逆に、
辛いという気持ちがふと浮かんだようです。

しかし、その気持ちに強くこだわるのではなく、
いつものように、家に帰って寝るだけだといいます。

その気持ちにこだわらないとはいえ、
まっすぐ家に帰るわけではなく、
夜を歩き通すのだといいます。

そこに、独特のつらさとのつきあい方が、
書かれているように思います。
勤労感謝の日とお会式


報告:長沼光彦




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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 22:06 │Comments(0)日記日本語日本文化領域京都

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