2015年11月07日

文化の中のおもちゃ、子どもを育てるおもちゃ

 岩崎ゼミでは、7月におもちゃ屋さんへ見学に行きました。行った先は、二条にある木のおもちゃの専門店〈Bitteのおうち〉で、店長の早瀬 阿也子さんにお話を伺いました。
 実際におもちゃを触らせていただきながら、いろいろなことを教えていただきました。

文化の中のおもちゃ、子どもを育てるおもちゃ



 このお店では、ドイツを中心に、ヨーロッパの木のおもちゃを扱っています。ヨーロッパでは、ひとつひとつのおもちゃが日本のおもちゃに比べて高価です。金額表示が5桁であることも珍しくありません。その背景には、ヨーロッパのおもちゃが、その時限りのものではなく、親から子へと代々受け継がれ、それぞれの家の生活の一部としての大切な物であるという考え方があります。同時に、木のおもちゃであるということは、何十年何百年にもわたってヨーロッパの風土の中で成長してきた木を切って使うということです。長年かけて育ってきた木を使うわけですから、次の世代のために新しい木を育てていく責任も生じ、未来に何を伝えるかを考えていくことにもつながります。このように、木のおもちゃは、その文化の中に深く根付き、その継承をも担ってきたといえるでしょう。

文化の中のおもちゃ、子どもを育てるおもちゃ



 また、おもちゃが子どもの発達にとって重要な役割を果たすことはよく知られていますが、今回は発達段階に合わせたおもちゃの選び方についても教えていただきました。赤ちゃんの時から、その体や心の発達に沿って、おもちゃを渡していくことが重要で、赤ちゃんはまず横になったままで、目が物を追うことができるようになるので、赤ちゃんの目の届く場所で、その目の動きに合わせてゆっくりとくるくるまわっているおもちゃが適しています。それから、次第に体を自分の意思で動かせるようになり、肩を使って、肘を使って、指を使ってと、少しずつ発達していきますので、それに合わせたおもちゃがあると、遊びたい、自分で何かをしてみたい、という意欲が湧いてきます。大人から見るとじれったかったり、何がおもしろいのだろうと感じたりするおもちゃもありますが、子どもの発達段階に合わせて、大人も焦らず、子どもの育ちと興味にじっくりつきあっていくことが大切だということがよくわかりました。



 最後にお聞きしたのは、早瀬さんがぜひ子どもたちに手渡したいと思っている人形の話です。メガネをかけた人形や片腕のない人形など、すべての子どもが自分の分身として抱きしめることのできる人形を、ひとりひとりの子どもに渡せるようにすることが夢なのだそうです。子どもの心に寄り添うことのできる人形の実現です!

報告:岩崎れい




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Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 09:53 │Comments(0)授業紹介

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