2018年08月16日

8月5日オープンキャンパス体験コーナー「仮想ギャラリーツアー」

「仮想ギャラリーツアー」。
これは、8月5日のオープンキャンパスの体験コーナーの一つでした。
きっと「なんだろう??」と思われることでしょう。

とても有名な美術館3つを「くじ」で選んでいただき



その所蔵作品から数点(事前に厳選いたしました)を
参加された方と一緒にお話しながら見る!というもの。
(ルーヴル美術館、ウフィッツィ美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの三択にしてみました)

単なる一方的な解説にならないように、
自由に感想を話していただきながら、鑑賞を深める・・・はずなのですが、
ついつい私の話も長くなってしまいました。

取り上げた作品の中で最も反応が大きかったのは、次の2点です!





どうでしょう?
ルーヴル美術館所蔵、グルーズという画家が1777年に描いた作品です。
実はこの2点、セットになっています。
最初の作品は《父の呪い(親不孝息子)》、2番目の作品は《父の呪い(罰せられた息子)》。
親の意に反して、傭兵にやとわれようとしていく息子が、結局家に帰ってくると、父は倒れていた・・・というストーリーなのですが、
細かく見ていくと、いろいろと「突っ込みどころ」があります。

体験コーナーに参加した方の中でもっとも鋭い突っ込みは
「家計を助けるために兵隊に入ったのかもしれないのに??」というものでした。
たしかに、当時の傭兵にまつわる事情をより調査したくなる指摘です。
ほかにも、「すごくたくさん子供がいるんだけど・・・みんな兄弟??」という意見も出ました。
鋭い!!
ブログを読んでくださっている方も、なにかすごいことに気づいてしまうかもしれませんね!!
ぜひじっくりご覧ください。

グルーズは、このようにドラマチックに想像力を刺激する作品で評判になった画家ですが、
ポイントは庶民が主人公になっているというところです。
17世紀までの絵画は、神話画や宗教画では激しい感情が表現されることが多いのですが、
庶民が描かれた作品で、これほどまでに多様な、とくに悲劇的な感情が描かれることは
あまりありませんでした。
また、2枚で一組というのも、漫画のようで面白い工夫です。
複数作品を比べながら見るという鑑賞形態にも興味が湧きますね。

絵画はいろいろな角度から楽しむことが出来ます。
8月19日のオープンキャンパスでは模擬授業を担当します。
ぜひご来場ください。

(報告: 吉田朋子)
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 16:43Comments(0)国際文化領域(芸術と思想)オープンキャンパス・AO入試