2017年09月10日

祇園祭に行ってきました6 ―3年次生「専門演習」クラス〈終〉


(夏に出かけた祇園祭の記事の最終回です。六日の菖蒲どころではありませんが、おゆるしのほど)


日もすっかり暮れ、人出も増えて、お祭りムードが高まってきました。






われわれが最後に向かったのは、くじ取らずの鉾の一、放下鉾(ほうかぼこ)でした。

鉾の真木(しんぎ)の中ほどに放下僧の像を祀っていることにちなむ名です。放下僧とは、室町時代後期に現れた僧形の大道芸人のことで、仇討ち物の謡曲「放下僧(ほうかぞう)」にも登場します。親への孝養を重んじた古人たちが、親の敵を討つ兄弟の物語に感じて制作した鉾なのでしょう。

町会所の二階に上がらせていただき、お宝の数々を拝見しました。





まず目に飛び込んで来たのは、モスクとフクロウのデザインが異彩を放つ見送りでした。江戸時代に作られた綴織(つづれおり)に代わり、昭和57(1982)年に制作された「バクダッド」という名の臈纈染(ろうけつぞめ)だそうです。ギリシャ神話や聖書のデザインが古くから用いられてきた祇園祭ですから、イスラーム風のものが加わっても何ら不思議ではありませんね。





こちらは、鉾の先端を飾る鉾頭(ほこがしら)です。地上を照らす太陽、月、星をデザインしたもので、形が洲浜(すはま)の模様に似ているので、この鉾は「すはま鉾」の別名があります。






放下鉾では、昭和3(1928)年までは長刀鉾と同じように、生き稚児を乗せていました。その時に用いた古い冠が二つ並べて展示されていました。いったい何人の子どもたちがこの冠をかぶってきたのかと思うと、祇園祭の歴史と伝統を目の当たりにした思いでした。




こちらは、現在の稚児人形がかぶる冠です。昭和4年製造だそうです。





町会所二階の奥には長い廊下のような橋がかかっており、向こうの倉庫の方まで続いていました。この橋は、祭りの時に器材を運び出すためだけに引き出されるものだそうです。町衆たちが、いかに祭中心に物事を発想してきたかがうかがえます。










見物人も鉾に乗せていただけるとのことでしたが、こちらは女人禁制につき、学生たちは入口のところでストップ。天井の様子や屋根を支える鉾の柱に施された見事な彫刻など、学生に知らせるため、何枚か写真を撮らせていただきました。




鉾から下りてそろそろ帰ろうかと思ったちょうどその時、お囃子の演奏が始まりました。鉾入口のところで待っていた学生たちは、コンサートのボックス席のごとく、かぶり付きでお囃子を聞くことができました。悠揚迫らぬ優雅なその響きに、学生たちは時の経つのも忘れ、聴き入っていました。〈終〉




(報告者:「日本語と古典ゼミ」担当、堀勝博)

  


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2017年09月09日

宇治散策 学生のフィールドワーク


学生が京都を散策した写真を、
送ってくれたので、
ご紹介します。


宇治といえば、
平等院でしょうか。
まずは、こちらを見学したようです。


最近修繕をして、
いっそう美しい姿になっています。


宇治に行くなら、
宇治川近辺も散策した方が良いですね。


こちらは宇治橋ですね。


宇治橋のたもとには、
紫式部の石像があります。


紫式部による「源氏物語」、
宇治十帖が、
宇治を舞台とするからです。

写真を送ってくれた学生は、
「京都をプレゼンする」というテーマのゼミで、
紫式部と京都というテーマで、
展示パネルをつくっていました。

今回のフィールドワークは、
その一環ということです。

(展示パネルは、
今度の10日、日曜日のオープンキャンパスで、
ご覧いただけます。)


少し調べてから行くと、
みどころもわかって、
良いですね。


写真:アリス
報告:長沼光彦  


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2017年09月08日

心配をプランに 卒論の相談

先日、卒論の相談に、
学生が来ました。




わりと早めに相談に来たなあ、
と思っていましたら、
内定先の会社の研修がはじまるので、
卒論を早め早めに進めたい、
ということだそうです。



できますかね、とご本人は、
心配の様子です。

私が思うに、
心配して、こなせるように、
プランを立てようとしている時点で、
わりと、だいじょうぶでは、
ないでしょうか。



プランを立てようと思えば、
自分をふりかえり、
何から着手するか、
考えられますね。


心配は、不安な気持ちのままでは、
一歩も進みませんが、
何かしなければ、
という気持ちに結びつければ、
解決の方向に進むきっかけになります。

社会人になったら、
プランを立てる力は必要となるでしょう。
この機会に、
心配をプランに変える練習を、
していただくと良いかもしれません。

(保険の宣伝みたいなタイトルだったでしょうか)

報告:長沼光彦
  
タグ :卒論計画


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2017年09月07日

10日、日曜日は、オープンキャンパスです

週末の10日、日曜日は、
オープンキャンパスです。



模擬授業は、
岩崎れい先生による、
「中高生にとって読書とは」
です。


中高生の皆さんにとって、
読書がどのような意味を持つのか、
お話いたします。


体験コーナーは、
中里郁子先生が、
「聖句入りカードづくり」
をいたします。

聖書の言葉を自分で選び、
その言葉に水彩の絵を、
書き入れたカードを、
作るものです。


また私長沼が、
「古地図から知る京都」を、
いたします。

地図を見て、
京都という街が、
どのようにできたか、
読み解く方法を、
体験していただきます。



学校ははじまったところだと思いますが、
受験の前に、一度、大学にいらしてみてください。


報告:長沼光彦
  


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2017年09月06日

アラビア語とアラブ・イスラーム文化(その2)

アラビア語Ⅲの学外授業 
アラブ・イスラーム文化の理解(その2)

授業の一環で7月13日に学生と
「ムスリムインバウンドEXPO in 大阪2017」
に行ってきました。

アラビア書道の展示もありました。



パレスチナ、オマーンなどアラブの
民族衣装が飾ってあり、
主催スタッフのご好意で試着をさせていただきました。
ほとんどの学生にとって、アラブの衣装を
身をまとうのは初めての体験でした。



会場のブースの中にヘンナアートを
見つけました。ヘンナとは中東・アラブ地域の
女性が手足の装飾に使う植物染料です。
婚礼などに際して、花嫁はもちろん
女性たちは手足に花や植物などを描きます。
アラブの古い伝承によると、ヘンナには
神の祝福バラカが宿るとされています。
何日かすると描かれた模様は自然に消えていきます。
3名の学生がブースでチャーミングな
デザインを描いてもらいました。



 会場にはアラブ人の方やアラブ地域に
明るい日本人の方たちもいて、
交流を深めることができただけでなく、
アラブとイスラーム文化をじかに
体験することができました。
アラビア語学習はもちろんのこと、
今後もこのような学びの経験を
積み重ねていきたいと思っています。

人間文化学科 教員 鷲見朗子
  


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2017年09月05日

アラビア語とアラブ・イスラーム文化(その1)

アラビア語Ⅲの学外授業 
アラブ・イスラーム文化の理解(その1)

本学のアラビア語科目は
アラビア語を学ぶだけでなく、
アラブとイスラーム文化を
理解することも目標にしています。
授業の一環で7月13日に
「ムスリムインバウンドEXPO in 大阪2017」
に学生とともに行ってきました。
さまざまな展示がされていました。



ムスリムとはイスラーム教徒のことで、
インバウンドとは
訪日外国人旅行のことです。
このEXPOは、訪日する外国人
イスラーム教徒観光客を迎え入れ、
イスラーム教徒とつながり、かれらのことを
理解するために開催されています。


 
まずはステージで披露された京友禅ムスリマ
ヒジャーブファッションショーを見ました。
ヒジャーブとはイスラーム女性教徒(ムスリマ)が
頭をおおうスカーフのことです。
貞節を守るためにイスラーム女性教徒は
ヒジャーブや長衣を身につけます。
この着用の根拠はイスラーム教の
聖典コーランの章句にあるとみなされています。
会場では、京友禅で染めた色とりどりの
華やかなヒジャーブに目を奪われました。



 シリアを支援する団体のブースに
私の知人を見つけ、シリアの現状、
そして美しい刺繍を施したテーブルクロスや小物、石鹸などの
シリア製品について説明を受けました。
(その2 に続く)

人間文化学科 教員 鷲見朗子

  
タグ :アラビア語


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2017年09月04日

卒論の相談 文化の研究


まだ大学は夏休みなのですが、
卒論の下書きで、
学生が相談に来ました。



相談に来た学生は、
テレビゲームをテーマとしています。



まずは、ゲームの歴史から、
まとめてきました。


大昔は、喫茶店で、
インベーダーゲームをしていた、
時期もありました。


その後、ゲームセンターが、
今で言う、アミューズメントパークのように、
混み合っている時期もありました。



それが、今では、
ゲームセンターも、
あまり見かけません。

ファミコンのようなテレビゲーム機も、
昔ほどは売れないそうです。

時代は変わったようです。




それで、どうしてこうなったのかな、
と考えてみます。

相談に来た学生にしてみれば、
ゲームを楽しんでいる人はいると、
いうことです。

スマホでゲームをしている人は、
多いようですね。



そこで、
ゲームを遊ぶ場所や機会が変わったのだ、
と考えてみましょう。

なぜ変わったのでしょうか。




じんわり考えてみると、
そもそも昔は、
コンピューターが小さくできなかったので、
ゲーム機のためには、
ある一定の大きさが必要でした。

ところが、だんだんと小型化され、
今ではスマホの中に、
ゲームができる高性能な
コンピューターが収まっています。


つまり、遊びの文化も、
技術の発達という社会的な条件により、
変化している、ということがわかります。


実は、美術や音楽や映画など、
他の文化が生み出した物事も、
技術の発達により、
変化しています。


このような社会背景を、
考えるのも、
文化の研究の方法のひとつです。


というような感じで、
適度にまとめて、
引き続き、考察を進めてくださいと、
学生にはアドバイスいたしました。


報告:長沼光彦


  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 21:19Comments(0)日本語日本文化領域

2017年09月03日

夏の終わりの向日葵(ひまわり) 花のある大学54


もう夏も終わりですが、
正門近くの守衛室前に、
大きな向日葵(ひまわり)が咲いています。



日中は、まだ暑いので、
キャンパスの向日葵も、
似つかわしいような気がします。


ただ、雲の様子は、
もう夏らしくないかもしれません。



報告:長沼光彦  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 18:06Comments(0)日記新館・校舎紹介

2017年09月02日

祇園祭に行ってきました5 ―3年次生「専門演習」クラス



続いて遭遇したのは、船の形をした船鉾(ふねほこ)です。ご神体は、神功皇后です。かつてお札にもなったことのあるお方ですが(女性でお札に採用された第一号)、戦後は教科書からも完全に抹消され、今の女子大生は知るよしもありません。読み方も「ジングウコウゴウ」ですので、お間違えなく。




祇園祭ではとても重要な人物で、船鉾の他に、占出山、3年前に150年ぶりの復活を遂げた大船鉾(かつての呼称は「凱旋船鉾」)のご神体に取り上げられており、往時の人気がしのばれます。詳しいことが知りたい学生さんは、古事記・日本書紀をお読みください。




ここでも粽を売る少女たちが元気のよい歌声を披露してくれていました。楽しそうな一生懸命な姿に打たれ、記念に一つ購入することにしました。これでわが家も一年無事安泰です。




その後、木賊山を見学し、動くカマキリで知られる蟷螂山を見に行きました。カマキリがパタパタするのは、晴れの日の山鉾巡行の時だけですから、夜に拝見したご神体は「蟷螂之斧」を控えめにした神妙なお姿でした。




こちらは提灯にカマキリが貼り付いており、訪れた人々を和ませていました。

(報告者:堀勝博)

  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00Comments(0)京都フィールドワーク授業紹介京都日本語日本文化領域

2017年09月01日

祇園祭に行ってきました ―3年次生「専門演習」クラス3

祇園祭宵山の楽しみは、浴衣掛けで露店を思い思いにめぐり、食べ歩きをすることですが、ついそれだけで終わってしまって、祭り本来の意味や伝統にまったくふれぬまま、夏フェスの一種ぐらいに考えて、お祭り気分を味わうだけといった人が多いとすれば、まことにもったいないことです。

往時の人々が、どんな思いでこの祭りを作り上げ、受け継いできたのかを知った上でこの祭りに参加することは、同じ京都に学び、生活する者として、とても大切なことではないでしょうか。

ということで、わがゼミでは単に歩行者天国に立ち並ぶ山や鉾を見学するだけではなく、必ず町会所に立ち寄り、ご神体や展示品を拝観して、各山鉾の由来や歴史について学ぶようにしています。




今回ご紹介するのは、伯牙山(はくがやま)です。提灯や幔幕がおしゃれな琴柱(ことじ)の模様になっていました。このような粋な遊び心が至るところに見られるのが、この祭の楽しさですね。




この山のご神体が、物語の主人公、琴の名手、伯牙です。とても思い詰めた表情で、手に斧を持ち、琴を断ち割ろうとしています。なぜ琴の名人が琴を割ろうとするのか。それがこの伯牙断琴のお話です。『呂氏春秋』や『蒙求』などに載っています(ただし、明治以前は主人公の人物名は特定されていなかったらしく、単に「琴割山」と呼ばれていたそうです)。

この伯牙山の特徴は、懸装品がすべて中国色で統一されているところです。




見送りの「仙人図」は西陣で制作されたという刺繍。人物の押し絵が施された水引は、20年前に復元されたもの。いずれもいかにも中国風ですね。この山を代々受け継いできた町衆の心意気がうかがえます。




ゼミ発表を担当した中国の留学生も興味津々の表情で見入っていました。

(報告者:堀勝博)



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00Comments(0)京都フィールドワーク授業紹介京都日本語日本文化領域