2017年09月01日

祇園祭に行ってきました ―3年次生「専門演習」クラス3

祇園祭宵山の楽しみは、浴衣掛けで露店を思い思いにめぐり、食べ歩きをすることですが、ついそれだけで終わってしまって、祭り本来の意味や伝統にまったくふれぬまま、夏フェスの一種ぐらいに考えて、お祭り気分を味わうだけといった人が多いとすれば、まことにもったいないことです。

往時の人々が、どんな思いでこの祭りを作り上げ、受け継いできたのかを知った上でこの祭りに参加することは、同じ京都に学び、生活する者として、とても大切なことではないでしょうか。

ということで、わがゼミでは単に歩行者天国に立ち並ぶ山や鉾を見学するだけではなく、必ず町会所に立ち寄り、ご神体や展示品を拝観して、各山鉾の由来や歴史について学ぶようにしています。




今回ご紹介するのは、伯牙山(はくがやま)です。提灯や幔幕がおしゃれな琴柱(ことじ)の模様になっていました。このような粋な遊び心が至るところに見られるのが、この祭の楽しさですね。




この山のご神体が、物語の主人公、琴の名手、伯牙です。とても思い詰めた表情で、手に斧を持ち、琴を断ち割ろうとしています。なぜ琴の名人が琴を割ろうとするのか。それがこの伯牙断琴のお話です。『呂氏春秋』や『蒙求』などに載っています(ただし、明治以前は主人公の人物名は特定されていなかったらしく、単に「琴割山」と呼ばれていたそうです)。

この伯牙山の特徴は、懸装品がすべて中国色で統一されているところです。




見送りの「仙人図」は西陣で制作されたという刺繍。人物の押し絵が施された水引は、20年前に復元されたもの。いずれもいかにも中国風ですね。この山を代々受け継いできた町衆の心意気がうかがえます。




ゼミ発表を担当した中国の留学生も興味津々の表情で見入っていました。

(報告者:堀勝博)



  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:00Comments(0)京都フィールドワーク授業紹介京都日本語日本文化領域