2016年07月03日

文学のモラル 国文学概論


国文学概論では、
坂口安吾「文学のふるさと」を読んでいます。



坂口安吾は、通常文学にはモラルがあるが、
世の中には、モラルのない物語がある、
と言います。



例えば、赤ずきんの元の話では、
赤ずきんは、狼に食べられて、
そのまま話が終わります。
猟師が助けてくれることは、
ありません。


坂口安吾は、こういう話を、
モラルのない作品だといいます。



ここでいう「モラル」は、
私たちのいう、道徳とは違う意味です。
「しなければけないこと」ではありません。


人生観、人生の解釈の、ようなものです。
物語の中には、そういう解釈を拒否するような、
私たちを突き放すようなものがあるというのです。



逆にいうと、私たちは、
何らかの人生観や価値観にしたがって生きています。
これを揺るがされるようなことに出会うと、
私たちは不安に陥るのです。

ただし、坂口安吾は、
そういう不安が必要だと言っているようです。



この続きは、また授業でお話します。


報告:長沼光彦
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学      国際日本文化学科(人間文化学科)  at 17:52Comments(0)授業紹介日本語日本文化領域